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実はちょっと危険な思い出話し(後編)

計画性の無さにより、年末の話しが、年明けに…
時期はずれで、申し訳ありませんが、思い出話し、後編です。

前編はこちら


30年前の年の瀬、タクシー難民となった私は、同じくの、見ず知らずの男女と、乗り合いすることに。通らないタクシーを待ち続け、冷え切った体を一旦温めようと、おじさん行き付けのお店へ。
体は温まるも、状況は悪くなる一方。
なんとしても家に帰らないといけない
私は、泊まると言う提案をお断りして、歩いて帰る事に…

自分の支払いを済ませ、エレベーターを
待っていると、

『待って!どうするの?』

と、"部長" と呼ばれる、店のお偉いさんが追いかけて来ました…


今なら、友人に

《タクシー争奪戦に玉砕…明日のスキーはキャンセルで😢》

などと、メール一本で済むところですが、
まだ携帯電話の普及していない30年前、連絡手段は家電のみ。

早朝5時に、私の家に来てもらう友人の家に、夜中の1時2時に電話をかける事など、できる筈もなく、なんとしても、

友人が到着する前に、

もしくは同時くらいに、

最悪、途中で出会えたら…

いずれにせよ、一刻も早く出立しなければ…
何せ、道に迷う事も、考慮しないといけないので…(^^;)

歩いて帰ります!
と答えると

『歩いて⁉️近いの?』

と部長さん。

車で30分…という私の返事に、呆れ顔で、

『今、車にチェーン履かせてみてるから!履けたら車で送ってあげるから!』

『駄目だったらゴメンだけど、とりあえず何か飲んで、ちょっと待ってて』

と。

正直なところ、有難いとは思いましたが、待った挙句、駄目だったとなると、致命的な時間ロス。

夜中とは言え、雪の日の夜は、雪あかりで、想像以上に明るいもので、

静寂に雪あかり…

ちょっとしたご褒美だなぁ…と、
歩く気満々でしたので、

急いで帰らねばならない旨を伝え、
お礼を言って帰ろうとすると、

『待って待って!今様子見て来るから!』

ここで待ってて!と言われましたが、一緒に外に様子を見に行くと、
若いスタッフの方が2人、頭に雪を積もらせ、悪戦苦闘していました。

『ダメかなぁと思いましたが、なんとか
今一本履けたので、ちょっと時間はかかるけど、大丈夫そうです👌』

と、かじかむ声で報告するスタッフさん。

『おお〜良かった良かった!』
『じゃあ、中で酒でも飲んで待ってよう』

と促されるまま、店に戻り、

"なぜそんなに親切に…?"

という疑問よりも

"徒歩よりは早く家に着ける!"

という安心の方が勝り

お手柄よろしく、
あの2人の所へ報告に行くと、


『バカ、やめとけ‼️』

『あいつらロクなもんじゃねえぞ‼️』

『酒でも飲ませて、どうにかしてやろうと企んでんだぞ‼️』

と、おじさん。

……え?
そう言えば (゚o゚;;  
確かに…

「…何か飲んで待ってて…」
「…酒でも飲んで待ってよう…」

と引き留められたっけ…

お姉さんも、

『私も、車に乗るのはちょっと怖いな』

と。

……あれれ?
何か思ってたのと違う展開…

『悪いこた言わねえ!早く断って来い!』

と、おじさんは心配しますが…

外のあの2人の姿を見てしまったら、断るなんて、とてもできません💦

それに、そうこうしているうちに、かなりの時間が経っていましたので、もう私に
残された選択肢は、

彼らを信じる(運を天に任せる)のみ

…という事で、
不安を払拭しようと?
外に様子を見に行くと、やはり

頭に雪を積もらせ
顔と手を真っ赤に濡らし
凍えながら、黙々と作業をしています

堪らず傘を差し掛けると、

『寒いんで(邪魔なんで)中に入ってて
いいっスよ』

と、かじかむ声で一言。

ですよね…
ごもっとも(邪魔!)

とは言え、私だけ中に入る気にもなれず、

目につかない場所で様子を窺い、どのくらいの時間だったか、よく覚えていませんが、終わりそうなタイミングを見計らって、温かい缶コーヒーを差し入れると…

『おぉー!温ったけー!』

と、鼻水を拭いながら、真っ赤な両手で
缶コーヒーを握りしめる2人。

開口一番の「温ったけー」

どれ程の寒さか、窺い知れます。
申し訳ない気持ちと同時に、

この人たちが、悪い人とは思えない。

何もわざわざ、こんな思いをしてまで、
悪さをする必要があるだろうか…

と、ホッと安心していると

『あ、もうすぐ終わりますって、部長に
伝えてもらえますか?』

と。

(゚o゚;;
そうか!
運転するのは部長さんだった!(゚o゚;;
(ただのバカ↑)

一度安心した分、不安が倍増……
やけに長く感じるエレベーターを降り、
部長さんの元へ。

『もう少しで終わるって、伝えてください、と頼まれました。』

などと、
ちょっと、他人事の様な言い回しをしたりして…
もう、意味不明な挙動不審…

そのわりには、部長さんに住所を聞かれ、
番地まで答える、間抜けぶり💦

すると部長さん、ホールに行くと

『今から◯◯方面に車出しまあす!』
『方向同じ方、乗せてきますよー!』
『今すぐ出られる方!先着3名!』

と、同乗者を募ったのです。

一気に力が抜け、安心しました。
同時に、そんな事をしたら、我も我もと、大変な事になりはしないかと、心配しましたが、

全く逆方面の方が、お一人だけ、
『えー!いいじゃない、俺も乗せてよ!』
と粘っていましたが、それではキリがなくなる…と、バッサリとお断りして、

混乱する事もなく、
結局、私ともう2人、乗せてもらう事になりました。

龍宮城の大人たちは、まだまだ夢心地の
ようでした…

車に乗り込み、いざ出発!の時

『あ、断っておきますが、私、数週間前に此処に越して来たばかりで、雪道走るの、生まれて初めてですから!』

と部長さん。

いきなり、
キュルルル〜〜!と、左右にお尻を振る
ベンツ。

えっ?えぇー⁉️

『あの…ゆっくりで大丈夫ですから』

と言うと

『ゆっくりしか走れませんから』
『道だけちゃんと教えてください!』

と。
はい。

最初に、嘘でしょう⁉︎と思うくらい近くで、お一方が降りられ、位置関係的に次が私でした。

もうお一方は、
ちゃんと道順を伝えられるのか心配な程の、かなりの泥酔状態。

『私、後でもいいですよ…』
『家は分かりませんが、道はだいたい分かりますから』

と申し出ましたが、

『いいから、早く帰りなさい』

と言われ、
酔っ払いが寝ないように、話し相手をしながら(^^;)
家の近くの大きな通りで、降ろしてもらい、お尻を振りながら走り去るベンツを見送りました。


こうして無事に、友人よりも先に家に
着き、殆ど寝ずに、スキーに行きました。

友人に、一連の話しをすると

『えー!知らない人の車に乗ったの⁉️』
『危ないよ‼️』

たしなめられましたが、

本当に危なかったのは、車じゃなかった。

車に乗り込む時、チラッと見えたのです。
あの二人(男女)の後ろ姿が。

腕を組んで、街中に消えて行きました。

血の気が、サァっと引いたのを覚えてい
ます。


もしかすると前編から、怪しいと気付いていた方もいらっしゃるでしょうね(^^;)

お気楽、天然、アラサー女子は、全く気付かず、信用しきって、スキーの約束が無ければ、話しに乗っていたかもしれない。

実は、考えると本当に怖くて、この事だけは、ずっと人に話せないでいました。


後日、菓子折りを持って、部長さんを訪ねると、重役出勤の部長さんには、お会いできませんでしたが、お店のスタッフの方によると、

『何度かスピンしながら、命からがら帰って来た!」

と話していたそうです。

部長さん、本当にありがとうございました


このようにして私は、30年も前から、
いつも誰かに、何かに助けられてきたわけで、

私も、誰かの手助けができるような人にならなくては…と思いつつ、55にして道半ば…トホホ

それならば、せめて、今日も笑顔でまいります😊


長々と、最後までお読みいただき、ありがとうございました🙇‍♀️



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