計数への質問回答&授業について

こんにちは、計数システムの4年生です。この記事は

① 工学博覧会Twitterに来ていた質問への回答

② 計数の2年秋~3年秋の授業の様子(駒場1,2年生向け)

の2本立てでお送りします。だらだら書いたらばか長い記事になりました。気になる所だけ読んで行って下さい。

1. 質問回答

Q. 「オンライン実験はどんな感じですか?」

工学博覧会のTwitterでの質問募集への回答です。

計数システムの4Sセメスターでは、2つの研究室を回って約2か月ずつ実験を行います。他の学科ではもう卒研が始まっていますが、計数は研究室配属が9月なので、まだのほほんと「実験」をやっています。卒論がめちゃくちゃ忙しくなりそうでちょっとこわい。

研究室での実験の様子は、1か所目では主に画像処理のプログラミングを行い、最後の方は家に顕微鏡が送られてきてそれでサンプルを見たりしてました。今実験をしている2か所目でも主にプログラミングをしていて、あとは紙とペンとLaTeXで理論面をやっています。

研究室によって違うと思いますが、今年はパソコンがあればできるプログラミングをメインに取り組んでいる所が多いのではないかと思います。

Q. 「演習が「燃える」と聞いておりますが,実際はどのような感じになるのでしょうか?」

いや草、誰だよ言った奴…というのは冗談(本音)。よくあるのは厳密性について聞かれることですかね。あとは以下のような状況に遭遇したことがあります。

・先生が燃やす (ex.「え、それよくわかんないんだけど」と横から躊躇なくディス、ではなく本質的な質問をしてくる)

・より良い解法の発表が止まらない (ex. ラプラシアンの極座標表示を求める問題で「この解法の方がスマートです」って4人くらい続けて発表。正直最後の人が何をやっているのかよく分からなかった)

・答えが間違っていた場合に先生による壇上一対一特別熱血指導が始まる(経験済み。ちょっとトラウマ。)

などです。基本的には素直に「分かりません」って言えば先生がフォローしてくれるので安心してください。

Q. 「海外院進する学生はいますか」

1,2年に一人くらいの頻度でいるっぽいです(感覚的な値なので間違ってるかも)。

Q. 「『授業のココが楽しい!』というポイントを教えてください」

工学部の他学科と比べると理論寄りな授業が多く、一方で理学部と比べると「便利に利用したい」という工学的モチベーションに沿った授業が多い、というこの絶妙な感じが楽しい!と思います(理学部の授業受けたことないけど)。

これは答えが十人十色になりそうな質問なので他の人にも聞いてみたいですね。

Q. 「院試と就活の準備はいつからする人が多いのでしょうか」

院試勉強は春休みから始める人が1~2割、春からが2割、五月祭明けからが半数以上という体感です。今絶賛勉強しているわけですが、正直日々の課題に追われてなかなか進まないです…。本気で勉強するのは夏休み始まってからかなと思います。

ついでに院について書くと、計数は情報理工学系研究科に進む人がほとんどで、そのうち数理コースは数理情報学専攻、システムコースはシステム情報学専攻に進みます。情報理工の院試は完全点数殴り合いの試験(今年は例外)で、数理専攻は定員が数理コースとほぼ同じなので本気で勉強しないと落ちるみたいです(システムは定員がちょっと多い)。他の進学先としては情報理工系の他専攻が多い気がします(なぜなら他専攻でもシステムor数理の科目で受験できる制度があり、対策しやすいため)。

就職については修士一年のちょうど今頃からインターンの応募が始まります。夏休みに長期インターン→秋に内々々定とかが理想なのかな?学部就職の場合は春から今頃にかけて内定という感じだと思います。たぶん。

Q. 「計数システムのシステム情報工学設計演習は具体的に何をしているのでしょうか?」

2章で書いたのでガーッと下の方に行ってみて下さい。

2. 授業について

質問回答だけでは味気ないので授業についてもまとめました。さすがに全授業について書く気力はないため私の興味にそって適当にピックアップしています。出現する科目の内訳はシステム>数理の割合です。

~目次~

2A : 数値解析、認識行動システムの基礎、数学及び力学演習

3S : 信号処理論第一、数学2D演習、設計演習

3A : 実験、応用統計学、回路学第二

2A 

週4駒場、週1本郷で授業を受けます。本郷の授業日に間違えて駒場に向かってしまう失敗を応物生は皆一度は経験します(私調べ)。

実験はなく、授業は演習以外ほぼ物理工学科と共通です。前期教養の数学みたいな雰囲気で大教室で受講しました。後から思えばこのセメスターが一番楽だったな…。

数値解析

数理コースの数値情報学の先生による授業です。ちなみにwebで動画が公開されています。

コンピュータを使った演算の手法と誤差についての授業です。前者の演算手法について例を出すと、プログラミングで「Aの逆行列を求める」時に、どんな手順が最も高速なのか?といった内容です。後者の誤差とは、コンピュータ内では実際の数値から僅かにずれた近似値を使って演算しています。膨大な回数の演算を行うと、次第にこの誤差が大きくなりおかしな結果を出す可能性があります。これでは物理シミュレーションなどを行う際にとても困ってしまうので、コンピュータはどういう演算が苦手なのか学んでおこうね、という感じです。

この授業は数学と情報のちょうど中間点のような立ち位置で、目的は工学寄りという点でとても計数っぽい授業だなと思います。コンピュータで演算を行うすべての人にとって大事な内容なので、物工の学生も多くの人が受講していました。

認識行動システムの基礎

システムコースの身体情報学(VRとか身体拡張とか)の先生による授業です。内容を一言で言うのが難しいのですが、VRや身体拡張にまつわる話を聞き、さらに実際に色々体験できる授業でした。

例えば、

・任意参加の遠足(?)がある。(私の年はチームラボだった)

・スマホ取り付け型のVRゴーグル(HMD)が配布され、グループワークでHMDを使ったゲームを考案した

などです。当時は「楽しい授業だなあ」くらいしか思っていませんでしたが、今思えばこういった分野は自分で実際に体験することが大事だったのかな、と思います。

[追記]公開当初おぼろげな記憶のまま間違えた授業名を書いていました。ご指摘ありがとうございました。

数学及び力学演習

いわゆる必修の数学演習です。講義は計数・物工で別々、試験は合同でした。数学を力学的に捉えなおす問題が盛り込まれており、「自分は応用物理系に来たんだなあ」という気持ちにさせられました。あと期末試験が3時間あるのに解き終わらないという計算ゴリラ向けの仕様になっていて辛かったです。

ちなみに、2A~3Sにかけて開講される必修数学の講義パートは物工・電気系と合同で、担当教員はすべて物工の先生でした。内容は

2A:微分方程式、ベクトル解析、変分法

3S:複素解析、フーリエ・ラプラス解析

でした。

3S

授業がすべて本郷に移り、一日の大半を工学部6号館で過ごしました。

授業多くてきつかったです(実験含め21コマ)。ですが隣の物工がバケモン忙しそうだったので、それを見ると自分もまだ頑張れるぞって気持ちになりました。物工すごい。

信号処理論第一

システムコースの脳波の先生が担当されていました。今は別の先生が担当されているらしい。

フーリエ変換とその親変換であるZ変換、周波数フィルタなどについての授業でした。このサイトが内容に近いので、見ると雰囲気が分かるかもしれません。

(一限であることを除けば)めちゃ面白い授業でした。私は前期教養の授業の中で振動波動論が一番好きなのですが、そういう人はこの授業も好きだと思います。数学的な話でありつつ、図で解釈できるところが楽しいです。

数学2D演習

これも必修数学の演習です。2Aでは計数・物工で分かれていましたが、3Sでは物工と合同の演習でした。工学部6号館の一番広いけどそれでも席数が足りていない大教室でぎっちぎちに詰めて座ってレポート問題の発表を行いました。

内容は先ほど挙げた通り複素解析・ラプラス解析あたりで言うことはないのですが、必修の授業なのでいつも見ない顔の人たちも集まってクソ密集してわいわいするのがなんか楽しかったです。

設計演習

システムコースのみの演習です。1タームだけの授業ですが、内容は

マイコンを使ったプログラミング & 簡単な電子工作

CADを使った機構設計 (& 3Dプリント)

③MATLABを使った車輪のシミュレーション

と盛りだくさんでした(改めてみると設計演習という名前に即しているのはCADだけな気がします)。システムコースの研究室に入ると3つのうちどれかしらは使う気がするので、それの良い練習になりました。

3A

3Sに比べるとちょっと楽かと思いきや実験が週2に増えてレポートに追われる日々でした。この頃から物工と一緒の授業が減り、専門的な内容が増えます。

実験

数理実験が3つ、システム実験がいっぱいあり、3Sと3Aを通して全部の実験(システムコースの学生でも数理実験まで全部)を行います。

3年生のシステム実験は例えば

・はんだを使って自分で回路を作成する実験

・無響室で人型マイクを使っての実験

・倒立振子がのった台車の制御実験

などでした。また、数理の実験はパソコンを使って

・ネットワーク構造を描いたり、

・梁の曲げのシミュレーションをしたり

しました。数理実験は20人くらいずつ、システム実験は3~4人ずつの班で行い、それぞれにTAさんがついて色々教えてもらいました。

応用統計学

数理コースの統計学研究室の先生が担当されていました。内容としては基礎統計の続き、基本的な数理統計学(応用ではない)を扱っていました。理学部と合同だったらしく、理学部1号館まで移動して受講しました。

レポートの採点がめちゃくちゃ丁寧でびっくりした記憶があります。先生の雰囲気がとても好きでした。統計大事だし(院試にも出るし)ぜひ受講してほしい。

回路学第二

システムコースの触覚や二次元通信を研究されている先生が担当でした。最初の方は分布定数回路と呼ばれる特殊な条件の回路の扱いについて学び、ここまでは回路学っぽかったのですが、その後は波動の話に寄っていって光の回折とフーリエ変換の関係についての話や、果てはホログラムとか見せてくれました。回路学ってなんだ?

まとめ

特にまとめることがないんですが、「計数は色々やっていて楽しそうだな」と思ってもらえれば幸いです。先生方がとても指導熱心なので、分野に興味があればとても楽しい時間が過ごせる学科だと思います。

また、ここには挙げていませんが物工の授業もとても面白かったです。姉妹学科なだけあって物工の授業は取りやすい印象でした。

ついでに進学後に感じたことを述べると、学部就職はしにくい(特にシステムコースの場合)と感じました。理由としては①卒研開始が遅いこと、②横断的な内容ゆえ学部では「何」を学んだのか表しづらいこと、③必修授業で出席必須が多いこと、の3つです。まあ、工学部はどこもわりと院進前提の雰囲気なので、本人が強い意志を持っていればなんとでもなるかもしれないです。

記事の一番下まで読んでいるあなたは相当真剣に悩んでいる方かと思うので(?)言っておきたいのですが、学科の男女比を気にしている方がいれば、全く関係ないということをお伝えしておきます。進学当初は「理科一類より女性率の低い世界が存在するのか」とちょっとショックでしたが、今は「学問に性別は関係ないなあ」と心底感じています。計数はともかく物工は2年連続女性0人なので躊躇する気持ちもよく分かりますが、私の感覚的には応物の環境では全く関係なかったと思います。社会に出てもこれからの時代関係ないと思うので、ぜひ自分がやりたいことができる場所へ進学してほしいな、と思います。

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