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『イメージの裏切り』

 こんにちは!アファンタジアネットワーク代表の小田原です。

 私は、心的イメージを形成することができない「アファンタジア」です。心の中で視覚的にイメージを思い浮かべることはありません。では、「そもそもイメージとは何なのか?」ということについて考えていきたいと思います。今回は、絵画をテーマにイメージについて深堀りしていきます!

イメージに騙される?


ルネ・マグリット 『イメージの裏切り』
The Treachery of Images (This is Not a Pipe), 1929

 これが何の絵かわかりますか?そうです、パイプです!これは、ベルギーの有名なアーティスト、ルネ・マグリットの『イメージの裏切り』(1929年)の絵画です。この絵の中には、フランス語で「これはパイプではない(Ceci n'est pas une pipe)」と書かれています。

「あれ、どういうこと?」と思った方もいるかもしれません。パイプの絵なのにパイプではない?一体どういう意味なのでしょうか?

 この意味はいくつかあります。

 この作品にはパイプが描かれていますが、本物のパイプではなくキャンバスに書かれた絵であるということ。そして、このパイプを実際に吸うことはできないということ。さらに考えていくと、パイプという言葉もパイプではないということです。

 何だか哲学的になってきました。

 この作品は、パイプのイメージを描いたものですが、私たちが見ているものはパイプではないと主張することで、私たちの最初の印象との矛盾が生じます。マグリットは、物体の表象と現実世界とのギャップを問題視し、イメージが私たちを騙して、描かれているものを正確に見ていると思わせているのではないか、という疑問を投げかけています。

言葉とイメージ


 本物であるかのように見ているものが、実は単なる表象にすぎないのではないか、と考えていたマグリット。彼は、言葉とイメージの曖昧さ、現実とその表象に対する私たちの理解に疑問を投げかけているのです。つまり、書かれたテキストや描かれた物体のイメージは、実際の物体として受け取られるべきではないことを示しているのです。
 

バンクシーのオマージュ


バンクシー『これはパイプである』 
This Is A Pipe, 2011

 これは、バンクシーの絵画『This Is A Pipe』(2011年)で、マグリットの『イメージの裏切り(This is Not a Pipe)』をオマージュした作品です。パイプの代わりに本物の水道管を使用しています!
 もしマグリットが生きていたとしたら、バンクシーの作品に対して、どのような解釈をするのでしょうか?

まとめ

 今回は絵画をテーマにイメージについて考えてきましたが、マグリットの絵画を通して、少しでもイメージについての理解を深めることができたでしょうか?
 今後もいろいろなことを探求していきたいと思います!