他愛もない散文です。

最後、歌舞伎揚げの袋を顔の上まで持ち上げ、
さらさらと粉までたいらげた。
ふくよかを通り越した男は、手を叩き指先についた粉を叩き落とす。そこで小さく「よし」と呟いた。

得心。この男にとって歌舞伎揚げは、適度に口を乾かせ、コーヒー牛乳を欲するように下準備というわけだ。

満を持してコーヒー牛乳を取ると、パックを開けストローをさす。そしていっきかせいに、ちうちう吸う。ものの十数秒で飲みあげた。まだパックには水滴がついている。
舌なめずりをして、名残惜しい気持ちを断ち切るように、パックを折りたたみビニール袋に入れた。
ふくよかを通り越した男は、好きなものに対して優しくできる男であった。

俺はいつからコーヒー牛乳を飲まなくなったのか。それは漫画雑誌を買わなくなったからだろう。
、登校時にはコンビニに立寄り、コーヒー牛乳、漫画雑誌、ガムを買っていた。次第に漫画雑誌を買わなくなり、自然とコーヒー牛乳からも離れていった。
なんだか甘酸っぱい、ふぐりが痒くなる。
とにかく昔、コーヒー牛乳を愛飲していた俺がしていた流儀がある。
<後編>
もう少し続きます。

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