見出し画像

ウミガメのスープ

「ウミガメのスープって知ってる?」

「知ってるよ。おれ食べたことあるもん。」

「え?本当に?どこで?」

「海で遭難したとき。」

「マジ!?、、この話やっぱ無しで。」

「いや気になるじゃん。ちょっと懐かしい話だし。」

「うーん、、。まあおれが言いたかったのはちょっとしたクイズなんだけどさ。『とある男がレストランでウミガメのスープを注文した。一口食べると男はこれが本物のウミガメのスープであることを確認し、帰宅後、自殺した。なぜでしょう?』って問題で。」

「なにそれ。問題文それだけ?」

「いや、ここから質問をして、YESかNOか関係ないで答えていって答えを導いていくんだけど。。やっぱやめよっか。」

「なんでだよ、面白そうじゃん。理由に近づけるように質問してけばいいんだ。」

「うん、そういうこと。」

「自殺ね、、。じゃあまず、、男は以前にもレストランでウミガメのスープを飲んだことがありますか?」

「NOだね。」

「そうだよな、おれも遭難した時以来食べてないわ。」

「食べたいと思わないんだ?」

「いや、食べたいんだけどさ、置いてるとこないよね。かなり美味しかった気もするけど、遭難した時は他に食べ物が無くてさ。それでどんどん仲間が死んでく過酷な、」

「やっぱもうやめよっか。思い出さない方がいいよ。」

「あ、ごめんごめん、気を使わせるよなこんな話。大丈夫だから続きやろ。あ、そっか男はウミガメのスープの味が嫌いですか?」

「うーん、関係ない、かな。」

「なるほどね、あ、男はウミガメのスープをレストランで初めて食べましたか?」

「、、ウミガメのスープは初めてなのでYESだね。」

「ふーん、なんだろうその感じ。男はウミガメのスープを知ってはいましたか?」

「レストランで食べた時点では、YES。」

「ふーん、あんまり聞く言葉じゃないのにね。おれは遭難した時初めて聞いたなあ。」

「そうなんだ。」

「ダジャレ?」

「ごめんけど全くそんな気分じゃないから。色んな意味で大事故。」

「なんでそっちがそんな感じなの。あ、それも何かヒント?」

「関係ない、とは言い難いかー。。」

「なんだそれ。ただのクイズなのに。」

「おれも最初はそのつもりだったのに。。」

「は?え、おれの実体験に関係ありますか?」

「分からないけど、、」

「え、、もしかして男は遭難しているとき、まだ生きている仲間から死んだ仲間の肉を食べる提案をされました、か、、?」

「、、YES。」

「、、その後男はその仲間からウミガメのスープを作ってもらいますか。」

「ちょっ、もうこれ以上は、」

「、、男は今でもその味と食感を覚えていますか?」

「違う話しよ。ね、そういや旅行好きだったよね?最近どこか行ってないの?」

「いつも旅行に行ってたメンバーで遭難したんだ。」

「ごめん、旅行の話も無し!」

「その時何人か死んで、、そっかあの時のスープはウミガメのスープじゃなかったのか。」

「、、、、。」

「今どんな気持ち?」

「、、本当に申し訳ない。」

「そっか、なら良かった。おれあのスープをもう一度食べたいとずーっと思ってたんだけどウミガメのスープ見つからなくてさ。今日あの味が食べられそうで嬉しいよ。ありがとう。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?