見出し画像

ピザ屋

ここは商売繁盛の神がいると言われる神社。
今日もまた、我が店を大繁盛させんと意気込む1人の青年が訪れた。

神主「それで今日はどういったご用で参られたのかな。」
青年「私はこの度ピザ屋をオープンさせようと思っております。ついてはその繁盛を祈願させていただきたいのですが。」
神主「よかろう。それで今日はそのピザはお持ちかな?」
青年「はい、一枚ですが。」差し出す。
神主「うむ、いただきます。」
一口食べる。
神主目を見開きながら心の声「うまい!」

陽気なミュージカル音楽が流れる
神主音楽に合わせて歌いながら
 「なんて美味いピザ、そうこれまで食べたどんなピザよりも。」
コーラス「よーりもー」
神主「なんて美味いピザ、チーズはとろけ、ソースの酸味が鼻をくすぐる。」
コーラス「すーぐるー」
神主音楽をバックに語り口調で
 「ああなんて美味いピザなんだろう。これまで食べたピザからは考えられない美味さだ。これなら何枚でも食べられるよ。もっと、もっと食べたい。もっともっと!」

目を見開いたところに戻る
青年「神主様どうされました!?」
神主ハッとした顔で
 「いや、なんでもない。これを神に供える必要があるんだ。しかし申し訳ないが、これは今私が齧ってしまった。お供え用をまた持ってきてくれるか?」
青年「分かりました。明日また持ってきます。」
神主「うむ。10枚頼むよ。」
青年「10枚!?」
神主「神への供物だ!何か問題でも!?」
青年「い、いえ、明日持ってきます、、。」
神主「うむ、熱々でな。」

帰宅
婦人「祈願はどうだった?」
青年「うん、、。明日またピザを10枚持ってくるように言われちゃった。」
婦人「10枚ですって!?」

激しい音楽
音楽に合わせて歌いながら
婦人「あなた騙されてるのよ。その神主に。」
青年「そんなはずはないさ。あそこは有名な神社なのさ。」
婦人「そのピザはお金を払ってくれるんでしょうね。」
青年「ピザは神へのお供えもの。多分払ってはくれない。」
婦人「あなた騙されてるのよ。商売始まる前にそんなことでどうするの。」
青年音楽をバックに語り口調で
 「仕方ないだろう。約束しちゃったんだ。」
婦人「いいわ、私に考えがある。」
婦人、青年に耳打ち
青年「そんなあ!?」
婦人「ふふっ大丈夫、神様へのお供えよ」

翌日、神社にて
神主「待っていたぞ、そちらは?」
青年「私の妻です」婦人、会釈
神主「そうですか、それは開店おめでとうございます。それで供物は。」
青年「こ、こちらに。」差し出す
神主「ふむ、それでは神の御前にお持ちするのでそこで待っておきなさい。」

神主、神社の奥へ
青年「大丈夫かなあ。」
神社の奥から悲鳴「ぎゃーー」
神主走って戻ってくる。
激しい音楽。
神主歌いながら
 「どういうことだ、このワサビのピザは。どういうことだ、こんなに辛くて。」
青年ビビり顔。
婦人歌いながら
 「あら、神主様。どうして味を。齧ってはお供物にならないのでは。」
神主歌いながら
 「どういうことだ、こんなに辛くして。」
婦人歌いながら
 「神に痛覚はありません。辛味は感じないはず。神に痛覚はありません。あなたが食べる必要はない。」
婦人語り口調で
 「神主様、あなたがお供物として持ってくるようにと、仰ったんですよね。どうして食べたのか説明いただけますか?味見なら昨日したばかりでしょう!」
神主語り口調で
 「すまなかった。昨日食べたピザがあまりに美味しく、ついたくさん食べたくなったのだ。」
婦人「そんなことならお店に来ていただければサービスしますよ。」
神主「本当に申し訳ない。」
青年「そんな謝らないで。私のピザを美味しいと言ってくれてありがとう。さあ美味しいピザも持ってきてます。一緒に食べましょう!」

陽気な音楽
三人で音楽に合わせて歌いながら
 「なんて美味いピザ、そうこれまで食べたどんなピザよりも。」
コーラス「よーりもー」
三人「なんて美味いピザ、チーズはとろけ、ソースの酸味が鼻をくすぐる。」
コーラス「すーぐるー」
三人「なんて美味いピザ、これはどこで食べられるの。」
コーラス「れーるのー」
青年「〇〇〇〇(店名)さ!」
三人「みんなで行こう〇〇〇〇!みんなで行こう〇〇〇〇!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?