見出し画像

#ネタバレ 映画 「小さな中国のお針子」

「小さな中国のお針子」
2002年作品
開発
2003/3/9 17:24 by 未登録ユーザ さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

美しい映画だった。

フランス映画だからか、他の中国映画と一味違い、夢見るように心地良い。男二人と女一人、そこにはSEXさえ絡むけれどとても上品である。

この映画は、開発の陰で消えていく者たちへの鎮魂歌であろうか。なぜなら、ダムに沈む村と、失恋する男たちがいるからである。

男たちはなぜ失恋する必要があるのか。

相手のお針子は服を作る仕事をしている。服は後から人の体を包む物、だからお針子は教養のシンボルだったのかもしれない。教養が服のデザインを変えるシーンがあったのもその為か。教養を得た者はさらに新たなる教養を求める。彼女を開発した男たちはモチーフ通り彼女の前から消えていく運命にある。

彼女が去っていったもう一つの理由を探ってみる。一人の男が子供を与え、もう一人の男がそれを奪ったとも考えられる。女心は良く分からないけれど、彼女の気持ちの中では二人の男との関係はそれで終了したのではないだろうか。これもまた開発なのか。

でも、この映画はあまりそんな事を詮索しなくても楽しめる。それよりも映画の後半に舞台となった田舎の村の描写で、スクリーンに映った衛星放送のパラボラアンテナが妙に哀しかったのはいけない事なのだろうか、いや、ここから感じられたのも開発の陰に消えていく者たちへの哀しみの一つなのだろう。

追記
2003/3/10 22:43 by 未登録ユーザさくらんぼ

申し訳ありませんが、一つ訂正をさせていただきます。本文中「お針子を教養のシンボル」と言いましたが、「服を教養・文化のシンボル、お針子は好奇心のシンボル」と訂正をさせて下さい。

その方がお針子が村の住民たちの好奇心に満ちた瞳を代表しますし、お針子の「本は盗めばいい」といった過激なセリフが合理的に理解できそうです。



(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?