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#ネタバレ 映画「シンプル・フェイバー」

「シンプル・フェイバー」
2019年作品
春のミステリー
2019/3/14 10:13 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

映画「蜘蛛の巣を払う女」は「冬の歌」でした。

ならば、この映画「シンプル・フェイバー」は「春の歌」なのでしょう。

(イメージとして)陽春のお花畑の中に、ドロドロとした犯罪が見え隠れして、そのミスマッチ感に萌えます。

それは、うっかりすると、コメディーと間違えそうなほど。

★★★★

追記 ( 常在戦場 ) 
2019/3/14 18:06 by さくらんぼ

3.11は映画館で地震を受けました。その時に観た映画のタイトルは思いだせません。レビューも書いたような、書かないような。

そして今年の3.13にも同じ劇場へ行き、この映画「 シンプル・フェイバー」で、また地震に合いました。

揺れは、はるかに小さく、短時間でしたが、ビルの8階ですから、けっこう揺れました。

追記Ⅱ ( 映画「街の灯」 ) 
2019/3/15 8:04 by さくらんぼ

どうやら、これは映画「街の灯」へのオマージュのようです。

チラシに映った二人の女性、右側のステッキを持った彼女がチャップリンの記号かも。

そのチラシの裏面には、映画「街の灯」の冒頭にあった、銅像の下に眠っていたチャップリンを模したような写真もあります。

追記Ⅲ ( 映画「街の灯」 ② ) 
2019/3/15 9:22 by さくらんぼ

(  以下は、 映画「街の灯」のネタバレにもふれています。)

例えば、お花畑からは、花屋さんを連想しますね。

それから、花売り娘がチャップリンをお金持ちだと勘違いして恋したのは、男がクルマから降りてくるシーンでしたが、この映画でも、チャップリン役のエミリーが車から降りてくるシーンで、花売り娘役のステファニーが一目惚れするのです。

途中にある、チャップリンが泥酔した富豪の男に惚れられ、家に招かれる話や、入水自殺の話などのパーツは、二人でお酒を飲む話や、姉妹を殺す話などに、再構築されているようです。

そして、映画「街の灯」では、娘の目が見えないので、チャップリンは自分が浮浪者であることを隠して(事実上、娘を騙して)いましたが、目が見えるようになった娘は、チャップリンの驚愕の正体を知るのです。このあたり、映画「シンプル・フェイバー」では、ステファニーが服のボタンに隠したカメラ(目の記号)で、エミリーの正体を暴く話になっているようです。

映画「街の灯」のラストがハッピーエンドなのか否かは、議論があるかもしれませんが、私は、あの映画をシニカルな作品だと思います。たぶん(後に娘が戻って来るにせよ、すくなくとも一度は)チャップリンは娘から捨てられるのですね。

映画「「シンプル・フェイバー」でも、ステファニーを騙そうとしたエミリーが、苦労も空しく、逆に正体を暴かれ、自滅していくさまが描かれていました。

さがせば、他にもあるはずです。

タイトルは忘れましたが、昔観た他の映画にも、「自滅するから花屋は覗いてはいけない」(花屋さんごめんなさい)みたいなエピソードが、オマージュのように挿入されていましたので、映画「街の灯」のラストは悲劇か、という認識は、映画関係者では共通のものかもしれませんね。

追記Ⅳ ( ブロガー ) 
2019/3/15 9:36 by さくらんぼ

映画「家族のレシピ」の松田聖子さんは、シンガポール在住の日本人ブロガーという役でした。主人公の真人(斎藤工さん)は、彼女のネットでの情報能力を、私立探偵か何かみたいに利用(依頼)して、自分のルーツを探したのです。

そして、この映画「 シンプル・フェイバー」では、まさに、その私立探偵そのものの働きを、ブロガーであるステファニーがやっていました。

時代の空気感に、ちょっと驚き。

追記Ⅴ ( 重要な富豪のエピソード ) 
2019/3/16 9:18 by さくらんぼ

>途中にある、チャップリンが泥酔した富豪の男に惚れられ、家に招かれる話や、入水自殺の話などのパーツは、二人でお酒を飲む話や、姉妹を殺す話などに、再構築されているようです。(追記Ⅲより)

この部分をもう少しお話しします。

『  ところで「街の灯」のラストで、どうやらチャップリンは娘から捨てられるようなのですが、その後チャップリンはどうなるのでしょうか。諦めてまた浮浪者の生活に戻るのでしょうか。そのヒントを見つけました。

あの大金持ち、自殺騒ぎを起こした大金持ち、あの時は、恋の真っ只中で幸福感に酔った様になっていたチャップリンが励まし、助けるのですが、あの大金持ちの自殺の理由が、妻に逃げられた事によるものだった様なのです。ここに関連付けと、暗示が有ります。

娘に捨てられて、誰にも励まされなければ、チャップリンのその後も・・・。

映画「街の灯」はなんという悲劇なのでしょう。 』

(  映画「街の灯」の追記「捨てられたチャップリンは…」 2007/10/13 by さくらんぼ より抜粋  )

つまり、娘に捨てられたチャップリンは、その後、世を儚んで、入水自殺するようです。

娘は、口の悪い言い方をすれば、ある意味、「チャップリン保険金殺人の加害者、あるいは結婚詐欺」なのです。

たとえ殺人でなくとも、「チャップリン死亡により高額生命保険の受取人になったも同様」なのです。

これが映画ではなく、リアルであれば、世間のデマ的な、尾ひれの付いた噂が、そんな風に流れることも無くはないのでは。

( 2023.1.30追記 バカリズムさんの映画「架空OL日記」では、OLたちが同僚の男性の悪口を更衣室でしているシーンがあります。そこへ別のOLが入ってきてその話を聞き、その男性は無実だと(証拠を挙げて)証言します。

しかし、OL役のバカリズムさんは、「今、私たちは悪口を楽しんでいるの。無実かどうかは、この際、関係無いの。あなたも話を合わせてね!」(表現は正確ではありません)と諭したのです。

すると、無実を訴えていたOLさんも一緒になって、悪口を言い始めたのでした。

この様な光景は女子のリアルなのか、それともゴジラ映画並みに荒唐無稽なのかは知りませんが、少なくとも私が生きて来た男子社会の常識では驚愕です。

もし、このレベルで噂話を楽しんでいる人がいたとしたら、真実なんて、どうでも良くなってしまうのでしょう。)

ここで映画「シンプルファイバー」の話に戻りますが、ステファニーは事故死した夫の保険金で生活しています。

エミリーも自分の双子の姉妹を、自分に見せかけて溺死させ、保険金詐欺を企みました。

映画「街の灯」に隠されていた「チャップリン保険金殺人事件の体」が、ここに引用されていたのかもしれません。

追記Ⅵ ( 見なかったことに… )
2019/3/16 9:40 by さくらんぼ

>タイトルは忘れましたが、昔観た他の映画にも、「自滅するから花屋は覗いてはいけない」(花屋さんごめんなさい)みたいなエピソードが、オマージュのように挿入されていましたので、映画「街の灯」のラストは悲劇か、という認識は、映画関係者では共通のものかもしれませんね。(追記Ⅲより)

訂正します。

正しくは、「外に、もし気になる男が通っても、花屋の中から、その人を覗いてはいけない。もし覗けば、不幸の始まりになる」というものでした。

追記Ⅶ ( 人生いろいろ ) 
2019/3/17 10:02 by さくらんぼ

(  以下は、映画「ライムライト」のネタバレにもふれています。

『  自分と結婚する事が、彼女にとっては行く末幸せではないと冷徹に分析し、彼は身を引くのである。途中、彼の心の中には、色々な思いが有ったと思うけれど、彼ほどの人物ならば、その結論を出す事は難しい事ではない。

では、ここでチャップリンのもう一つの名作である「街の灯」を思い出してみる。主人公は若い。しかし貧しいのである。かれはその貧しさを気にかけない。一人暮らしならそれで結構だが、それが恋のマイナス材料になっている事に気づかない。たとえ気づいても貧しさから抜け出す事は容易ではないだろう。彼はその状況で事実上の求愛をする。

この「ライムライト」と「街の灯」は「身の程をしる」と言うポイントにおいて、思えば対照的な作品であったのだろうか。両方とも優れた作品で、それをシンプルに仕上げている。

でも、若者の中にもこんな人がいるかもしれない。たとえば「街の灯」の主人公を借りて語ると・・・

彼は自身が貧しいのを自覚し、彼女が誤解している事にも気づき、目が開いたら、彼女にどう説明しようかと最初から苦悩する。いや、人の心をもてあそんではいけないから、今すぐにでも彼女に自分の実像を教えたい。それから改めて求愛したい。しかし実像を教えたら、彼女は去っていくかもしれない。それは耐え難く哀しいが、もし去っていかなかったら、ある意味、それも苦しいことだろう・・・

もちろんこれでは別の映画になってしまいかねない。

しかし実人生は意外と複雑なのだと、改めて思うのである。 』

( 映画「ライムライト」 2003/8/17 by さくらんぼ 本文の再掲 )

追記Ⅷ ( 初めと終わり ) 
2019/3/17 13:59 by さくらんぼ

>そのチラシの裏面には、映画「街の灯」の冒頭にあった、銅像の下に眠っていたチャップリンを模したような写真もあります。(追記Ⅱより)

その銅像は、除幕式前だったので、大きな幕が被さっていました。チャップリンにしてみれば、布団代わり。

ところが除幕式が始まり、幕は降ろされました。あわててチャップリンも降りようとします。しかし、服が銅像に引っかかり、なかなか降りられないのです。銅像の前には、いつのまにか役人と来賓が集まっていて、「早く降りろ!」と急かしているのですが。

このエピソードが、映画「シンプル・フェイバー」では、戯れにステファニーの服をエミリーが着たら、脱げなくなり、そこに刑事が訪ねてくる話になっていたようです。

>そして、映画「街の灯」では、娘の目が見えないので、チャップリンは自分が浮浪者であることを隠して(事実上、娘を騙して)いましたが、目が見えるようになった娘は、チャップリンの驚愕の正体を知るのです。(追記Ⅲより)

このエピソードは道路上で行われましたが、娘にとっても、捨てられるチャップリンにとっても、突然クルマにぶつけられたような衝撃だったと思います。

これが映画「シンプル・フェイバー」では、そのまま交通事故になっていたようです。

最後にチャップリン役のエミリーが、娘役のステファニーに手を延ばすシーンが痛々しい。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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