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#ネタバレ 映画「劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」

「劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」
2019年作品
ある雨の日の情景
2019/8/28 18:27 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

高校生の頃の話です。

帰宅途中、私鉄の駅を出ると、雨が降りだしました。

私は傘を持っていたので、それをさして(当時はまだ走っていた)市電の停留所へ急ぎました。

すると、道路の中央分離帯のような停留所には、見知らぬ男子高校生が、一人、雨にぬれながら電車を待っていたのです。

「どうしよう…」。

周囲から目立つそんな場所で、男同士が相合傘などしたら、当人たちが恥ずかしいだけでなく、口の悪い連中に見られたら、何と言われるか分かりません(と、高校生の私は思いました)。

しかし、彼をほかって、隣で私一人が傘をさしてもいられません。

決心した私は、無言で近づき、「よかったら…」とだけ言って、傘をさしだしました。

彼は、「あっ、どうも…」の体でうなずき、無言で傘に入りました。

彼も私も、体が半分濡れました。

幸いにも、口の悪い連中には遭遇しませんでした。

★★★★

( タイトルは、吉田拓郎さんの歌から拝借しました。)

追記 ( ある映画館の情景 ) 
2019/8/29 8:51 by さくらんぼ

それはともかく …

この作品、映画版は、TVドラマと比較して、時に騒々しいほど喜劇タッチが増幅されているのです。そして、俳優さんの中には、私の神経を逆なでするような演技の方もいらっしゃいました。そういう役柄ですから仕方ないのですが。

そんなこんなで、失礼を承知で正直に申しますと、私は途中退席したくなりました。こんなことは珍しい。でも、そうしたらレビューが書けなくなると思い、我慢して座っていました。

すると、映画の中盤になったころ、近くのおばさま御一行が(お嬢様御一行だったかもしれません。お顔まで拝見しなかったものですから)、ケラケラと笑いだしたのです。何回も、何回も。時には拍手喝采まで起こりました。よほどツボにはまったのでしょう。

そのおばさま御一行に教育された私は、いまいちど冷静になって、映画を観察してみました。

すると、これはこれで上出来ではないかと思ったのです。

TVドラマと比較して云々というのは、原作と比較して云々という話に似ています。しかし、映画はもっと独立して良いはずです。

もしTVドラマが存在しておらず、いきなり、この映画に遭遇したら、少なくとも私は、その斬新さに驚いたと、思い至ったのです。

★★★★ ( TVドラマが存在しないと仮定して )

追記Ⅱ ( 「LGBTの人たちを笑いの対象にする」こと ) 
2019/8/29 9:21 by さくらんぼ

>この作品、映画版は、TVドラマと比較して、時に騒々しいほど喜劇タッチが増幅されているのです。…(追記より)

TV版はLGBTの人たちの存在に光を当て、社会的な認知に、一定の貢献をしたはと思います。

しかし、「LGBTの人たちを笑いの対象にする」という事には、「差別の裏返し」というか、「差別」と紙一重のところも存在するような心配もあります。

喜劇的要素がアップしたこの映画を観て、もしストレートの人が笑っていたとしても、LGBTの人も、やはり快く笑ってくれるのでしょうか。

そして、ストレートの人の笑いの中は、一滴の差別的な感情も混じっていないのでしょうか。

追記Ⅲ ( 「外したり替えたりすることはできません」 ) 
2019/8/29 17:15 by さくらんぼ

昨今のTVドラマ、まれにLGBTが取り上げられています。LGBTがストレートに恋をし、結果、ストレートがLGBTに変質!?、恋が成就して、めでたしめでたし、みたいなストーリー展開もあります。

しかし、それは個人的には「ありえない」と思っていました。変質したとしたら、それは自分はストレートだと誤解していた人が、実は元からLGBTであり、誘われて、それに目覚めただけなのでしょう。LGBTは趣味ではなく資質なのですから、ストレートも同様なのです。

しかし、知人と話したところ、「TVでやってるぐらいだから、ストレートの人もLGBTの好意に応えなければいけないのかな、それが普通なのかな…」みたいな感想を持っている人もいました。TVが植えつけた誤解です。

するとブーメランになり、「LGBTの人も、ストレートの人の好意に応えなければいけないのかな、それが普通なのかな…」に、なりかねません。誤解はLGBTの否定に繋がる心配もあります。

男女の恋愛でも、あたりまえに、秘めた恋や三角関係、そして失恋があるように、LGBTでも、それを描いて欲しいものです。ネットで見たところでは、統計上、日本の10パーセントがLGBTですから。

「 ――『同性愛は趣味みたいなもの』という発言には、どう反論しますか。

『 これに関しては、同性愛は趣味ではありません、飽きたら外したり取り替えたりすれば済むアクセサリーのようなものだと考えているとしたら、それはまったく違います、とハッキリ言い続けます。私にとって、セクシュアリティーは大切なアイデンティティーの一部であり、自分というものを形作る芯であり、資質です。外したり替えたりすることはできません。資質は趣味と正反対にある類(たぐい)の概念です 』 」

( Yahoo!ニュース 猪瀬聖 ジャーナリスト 8/25(土) 8:00 「日本は変われる」ゲイ公表のキャンベル氏 より抜粋 )

( マイページ 2018.8.26 の加筆再掲 )



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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