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#ネタバレ 映画「ディア・ドクター」

「ディア・ドクター」
2008年作品
人は夢を見るとき遠くを見つめる
2009/8/13 9:16 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

恋などはその最たるものでしょう。結晶作用で相手を美化し、本当の姿は見えていないのです。

もし失恋して、その結晶を涙の力で化学分解し、何年もかけて無害なものに変えてホッとしたところに、わけあって復縁しなければならなくなったとしたら、再び理性で再結晶は可能なのでしょうか。そんな未知の領域を丹念に描いた映画を観てみたいものです。

前置きが長くなりましたが、映画の冒頭に主人公たちと研修医との交通事故がありました。主人公たちの心は往診先の患者へと、すでに飛んでいます。研修医の心はケータイで話している友の所へ飛んでいます。人は夢を見るとき遠くを見つめるのです。だから盲目状態となり事故が起きました。

主人公を村中の人が名医だと信じきっています。白衣を通し、人情にあふれた言動をとおし、村人の心は現実の主人公から離れて、夢の中の名医を見ていたのです。もちろん彼にはそらなりの医療知識と運もありましたが。

映画の後半、刑事たちと主人公がホームで一緒にタバコを吸うシーンがありました。でも両者とも遠くに居ると思っているお互いを想像し、目の前を見ていないのでした。

主人公に助けられた未亡人のかづ子は、ラストで給食係に化けた主人公を見つけ微笑みます。

かづ子の娘は刑事に「あの後、母をどうするつもりだったのかを必ず聞いてください(母の今後のため、人情あふれた治療方針の教えを乞うつもりだった様子)」と嘆願します。

このとき母娘は無意識に、まだ主人公を名医として観ていました。免許は嘘でも心が本物だったことを本能的に知ったのですね。

主人公は映画初出演らしいですが演技は良かったと思います。ぜひまた出演してほしいと思いました。(失礼ながら)TVのお笑い番組の印象が強くて期待していなかったのですが、大変良い映画でした。ひろいものをした気分です。

余談ですが、監督は主人公のキャラを自分に似ているという意味のことを語っておられるらしいのです。もちろん監督は女性ですので内面の話です。

もしかしたら監督は、自分が監督として成功したことに一抹のおびえに似た感情を感じていらっしゃるのかと思いました。でも私から言えば、ご謙遜、杞憂だと思います。監督は十分に才能あふれた方です。これからのいっそうのご活躍も期待いたします。

★★★★★

追記 ( 歩道での自転車の走り方 ) 
2015/11/24 21:56 by さくらんぼ

歩道での自転車の走り方について、政府広報オンラインを見ると…

「歩道は歩行者優先です。自転車が歩道を通行するときは、車道寄りの部分を徐行(すぐに止まれる速度で通行すること)しなければなりません。また、歩行者の通行を妨げるような場合は、一時停止しなければなりません。

自転車のベルを鳴らして歩行者に道を空けさせたり、スピードを落とさずに歩行者を追い越したりするのはルール違反です。自転車側が、歩行者にけがをさせてしまう危険もあります。歩行者に配慮したやさしい運転を心がけましょう。」とあります。

つまり「歩道は徐行するべし。むやみにベルも鳴らすな」ということだと思います。

ちなみにウィキペディアによると「 徐行は道路交通法第二条で『車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。』と定義されている。

同法に具体的な速度は示されていない。ただ、自転車が歩道を通行するときの『徐行』の例示として『時速4、5キロぐらい』とする警察庁交通局交通企画課長の国会発言がある。」とあります。

つまり「徐行とは歩行者と同程度の速さ」ということだと思います。

でも、ご承知のとおり、歩道を徐行している自転車は皆無です。皆、普通に走行しています。それに私は、しょっちゅう後ろからくる自転車にベルを鳴らされます。

中には、雨のたそがれ時に傘を差し、道路右側の歩道上を、前照灯もつけずに、ベルを鳴らして走り去る自転車もいました。

又、前カゴに「不審者警戒中」みたいな黄色いプレートを付けている人でも、私が遭遇した人たちは、徐行していない人ばかりでした。注意してあげたいと思うこともたびたびですが、注意すると不審者扱いされてしまいそうでできません。

さらには、旅番組などで、人気タレントさんが、レンタサイクルで観光地を回るシーンがあるのですが、あれも法律順守で走っているのかが疑問なシーンが多い気がします。たいてい徐行してませんでしたから。法律順守をしたら非現実的な光景になってしまうのでしょうが、それを私は見てみたいです。

追記Ⅱ ( 医は仁術 ) 
2017/12/30 10:30 by さくらんぼ

>このとき母娘は無意識に、まだ主人公を名医として観ていました。免許は嘘でも心が本物だったことを本能的に知ったのですね。(本文より)

ときどき新聞の投書欄などで、「心無い医師の一言」みたいな話を読む事があります。最近私も、それを思いだすような経験をしました。

昨今は、お医者さまも「忙しすぎて、医療ミスをしないように働くのが精いっぱい。接客態度など、かまってられない」みたいな状況であることは知っています。本当にご苦労様です。

しかし、病気になって即日病院に行く患者は少ないのです。体の不調を感じてから、何日も我慢して働き、売薬を試し、それでも症状が改善しないので、怯えながら、苦しみながら、やっと病院の門を叩く。少しだけ、そこを想像していただきたいのです。

だから、お医者様には、まずは患者に、ねぎらいの気持ちを持っていただきたいのです。その気持ちが患者に伝われば、患者は安心し、それだけでも良薬を飲んだような気分になるものなのです。逆に、傷心になれば免疫力にも影響するのではないでしょうか。

この映画「ディア・ドクター」は、そんな作品だったのでしょう。



(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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