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#ネタバレ 映画 「謝罪の王様」

「謝罪の王様」
どうか頭をお上げ下さい
2013-10-08 19:10byさくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

TVの「半沢直樹」を興奮して完観した身としては、今さら、こんなことを言えた義理じゃないのですが、冷静になって思うに、正直なところ、何度か出てくる土下座のシーンは微妙にエグかったです。

土下座は昔から大変い重い謝罪方法ですね。それは誰でも知っています。しかし、幸いにも、数十年生きてきて、一度も、生(なま)で他人様の土下座を見たこともありませんし、自分が土下座をしたこともありません。私自身はいい加減な人間で、仕事でも、ずいぶんミスをしでかしたのですが、相手様から土下座を要求されるような経験もありませんでした。

それぐらい、土下座は重いものとして、国民の間には認知されていたからなのでしょう。学問的には知りませんが、少なくとも、私は、土下座の上を行く謝罪方法は・・・武士の世なら、たぶん切腹しかないのではないか!?、それぐらい重いと思っていました。

しかし「半沢直樹」では、土下座を、ある意味、エンターテインメントにしてしまった。その後に見た映画「謝罪の王様」では土下座をお笑いにしてしまった。もちろん両者とも作品の主題は土下座奨励ではないのでしょうが、ドラマに乗せられてしまう人もいるのかもしれません。

そのせいばかりではないでしょうが、ちまたでは土下座強要事件も起きています。とうとう警察も動き出して・・・幸いにも鎮火しそうな空気になってきましたが、本当に憂慮すべき状況でした。

その昔、健さんの映画を観ると、映画館から出てくる人は、皆、肩で風を切って帰っていく、とか申しました。映画「おくりびと」を観ると、皆、死者に対する尊厳を、納棺師に対する敬意を感じたはず。

それと同様に、「半沢直樹」と「謝罪の王様」は人々の土下座に対するハードルを下げてしまった感がありました。もちろん、映画「謝罪の王様」みたいに、謝罪ビジネスとして自発的に行うのは、まぁ、良しとしても、普通は、他人に強要するものではありません。むしろ「どうか頭をお上げ下さい」と言って、土下座を止めさせるのが常識的な行動だったはずです。

そんなことを、考えていたせいもあってか、あまりおもしろい映画ではありませんでした。サダヲさんもクドカンさんも好きなんですが、残念。

ところで、本気で人が怒るのは、相手からバカにされたと思うときなのですね。多くの場合、相手がミスをしたから怒るのではないのです。

そういう意味で、主人公がラーメン屋で、熱い汁を一滴、顔にかけられたときのエピソードは見事でした。初期の段階で「すみません」と言っておけば、それで済むものを・・・ああ言う些細なところから、ボタンのかけ違いは起こり、しだいにエスカレートしていくのですね。

★★★


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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