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#ネタバレ 映画「人情紙風船」

「人情紙風船」
1937年作品
人生への諦念
2021/8/12 10:59 by さくらんぼ (修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

1937年の映画「人情紙風船」(4Kデジタル修復版)をBSで観ました。

私は古い映画は基本的にカラーしか観ません。現在まで残っている古い映画は内容が優れているものが多いはずですが、映像・音声共に不明瞭では、観ていて疲れるからです。

しかし、デジタル修復版はすぐれた画質の物が多く、この1937年作品もびっくりするほど良い仕上がりでした。荒いどころか、しっとりしているのです。

物語は落語の「長屋の花見」を連想するような長屋もので、喜劇ではありませんが、映画というより落語を聴いているような味わいがありました。

しかし、少しラストがそっけない感じがします。

あのストーリーでかまいませんが、現代の感覚というか、私の感覚では、もう2~3分かまって欲しかった感が残りました。

しかし、その上でも万人にお勧めと、申し上げておきます。

★★★★

追記 ( 人生への諦念 ) 
2021/8/12 11:24 by さくらんぼ

監督はこの作品を作って数年後に徴兵されたようです。

「戦争が人々の生活に暗い影を落とす」とは常とう句ですが、「自分の人生もままならない」という気持ちが、当時の人々のバイアスとしてあったのだと思います。

それは徴兵される人だけでなく、銃後を守る人々にも。映画「この世界の片隅に」にも描かれていましたね。

現代でも、私たちはコロナ・ウイルスという見えない敵に囲まれて生きています。医療従事者という兵士だけでなく、銃後に暮らす私たちも、いつやられるかも分かりません。

そんな、「風で転がるような人生」という人生観を、映画では「紙風船」で記号化していたように思います。

追記Ⅱ ( 映画「雨あがる」 ) 
2021/8/12 11:27 by さくらんぼ

映画「雨あがる」を連想しました。

映画「雨あがる」が映画「人情紙風船」へのオマージュか否かは、現段階では分かりません。

追記Ⅲ ( 映画「雨あがる」 ) 
2021/8/13 10:14 by さくらんぼ

(  以下、映画「雨あがる」のネタバレにも触れています。 )

自由に連想した部分を書いていきます。

①映画「人情紙風船」の雨とドブが、②映画「雨あがる」では雨と川に。

①の気弱な侍と要領の良い遊び人が、②では両方を併せ持つ侍一人に集約されていました。

両方を併せ持つせいか、①ではバカにされ続けていた侍が、②では殿様から気に入られるのです。

①の侍は妻に無理心中させられますが、②では妻に尻を叩かれ、引き立てられるのです。

①の妻は長屋では周囲に溶け込めずに寂しい思いをしていました。②では周囲に溶け込めない娼婦になっていました。

①では侍が金を稼いできて宴会をしました。②では遊び人が機転を利かせて宴会をしました。

追記Ⅳ 2022.7.20 ( お借りした画像は )

キーワード「紙風船」でご縁がありました。愛らしい紙風船ですね。無加工です。ありがとうございました。




( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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