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#ネタバレ 映画「マダム・イン・ニューヨーク」

「マダム・イン・ニューヨーク」
2012年作品
言葉は自己表現のためにある
2016/1/3 9:41 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

数学者の藤原正彦さんは著作「国家の品格」で、「小学校では英語よりも国語を充実させるべきだ」という趣旨のことを書いておられます。

それは、①充分な国語ができて、②充実した内面があり、③それで初めて外国語教育が生きてくるという意味だと、私は理解しています。“言葉は自己表現のためにある”からです。

映画「マダム・イン・ニューヨーク」の主題はそれを思いださせました。

主人公の女性:シャシは、①と②は申し分ないのですが、自分一人だけ③が不足しているために、家庭でも自信喪失気味になっていました。逆にシャシの子供は①と②が不足しているのに英語だけ話せるので、平気で母親を小バカにする弊害が出ていたのです。

これは、そんなシャシが結婚式に呼ばれた事から単身ニューヨークへ行き、英語教室に通うようになるお話しです。

シャシがニューヨークですぐ受けたコーヒーショップでの洗礼(うまく注文できないエピソード)は、主題の代表的なモチーフのひとつでしょう。

注文とは、そもそも自己表現の最たるものの一つだからです。外資系のお店には、聞かれる注文が細かいお店があって、日本の“おまかせ”に慣れた私にはイラつくこともありますが、あれも裏を返せば、外国には“自己表現が命”な客が多いからなのでしょうか。

フランス青年に恋されたのもそうですね。恋心を伝えるのは自己表現の最たるものですからね。

結婚式用に、お得意のお菓子を作ったのに、子供のいたずらで地面に落としてしまいます。でも買ってきて間に合わせるのではなく、また一から作り直すエピソードもそうです。あのお菓子もシャシのアイデンティティの一つ。

そして結婚式。お祝いのスピーチを英語でしたのは、自己表現と語学の必要性を実感する代表的な場面でしょう。だから、それをもって卒業試験に代えたのは正しいのです。

シャシはインドの女優さんらしく!?、話すときに大人なのに首をクネクネさせるのが、ちょっと…でした。日本では似たしぐさをアイドルがよくしますが、私の好みでは10代のアイドルだけで十分です。もし、それが平気な人なら、映像も上品だし、なかなか良い作品だと思いますよ。

★★★☆

追記 ( ベーシック・イングリッシュ ) 
2016/1/3 9:58 by さくらんぼ

ただ…映画のように4週間でほんとうに英語がしゃべれるようになるのかは少し疑問があります。文法の勉強だけならまだしも、語彙数が少ないと表現が困難ですから。

もし少ない語彙数で挑戦するなら、イギリスの言語学者:オグデンが作った「ベーシック・イングリッシュ」などはどうでしょうか。基礎語850語と使用ルールを学べば話せるそうです。

これは日本の中学英語で約1,000語(850語の多くはこの中に含まれます)、英語圏のネイティブ約20,000語の語彙数にくらべても、圧倒的に少ないですね。どこかで“850語で源氏物語も翻訳できる”みたいな話も読んだことがあります。でも、なぜか「文化センター」などにこの講座がほとんど見当たらないのが残念です。

もし、これだけでも出来れば、ヒアリングに自信がなくとも、質問力でカバーできるのではないでしょうか。「あなたの言っている話は、こういう意味か」と問えば良いのですから。

そもそもヒアリングとは「読める英文を聞き取れるようにする訓練」だと思います。「話すための近道はむしろ英作文でしょう。“話すとは連続的な作文”だから」です。だから英文日記などが学習に効果的なのではないでしょうか。過去形の勉強にもなりますし。

この話、ろくに英語ができない私には語る資格がないので、この辺で終わりにします。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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