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#ネタバレ TV「半分、青い。」

2024.1.15

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

@ NHK朝ドラ「半分、青い。」で、ヒロイン・スズメ(永野芽郁さん)の親友の看護師が、3.11で亡くなりました。彼女は避難できない寝たきりの患者さんを置いてはいけないと、寄りそい続け、津波に巻き込まれたのです。

現実にもそのような事があったのかは、不勉強な私は知りませんので、あくまでもドラマの感想としてお話しします。

親友は漫画家の修行時代、たしかヒロインを残し、看護師への転職をしてしまいました。一人残されたヒロインの「弟子としての責任の重さ」を考えると、親友は自分が親友失格にも値するかもしれない卑怯者のような気がして、自己嫌悪になり、その十字架を背負って、看護師をしていたのかもしれません。

そして、ぼ~っと見ていたので良く分かりませんが、もしかしたら、このドラマの主題は、「やさしく寄りそう」であったのかもしれません。リツ(佐藤健さん)の言った、「俺はスズメを守るために生まれた」というセリフや、「正義の使者マグマ大使と、彼を呼ぶ笛」、そして「秋風羽織(爽やかな秋の風をはおっている)から、自然の風の扇風機」などからそう感じました。

その主題のエピソードの一つとしても、親友の看護師は、患者に寄りそう必要があったのでしょう。つまり、あれはドラマ上の演出だと思うのです。

ですから、リアルな現場では、看護師は生きる道を選ぶべきです。リツのセリフにもあるように、「人には生まれた使命がある」のです。

看護師の使命は医療を通じての人助けでしょう。逃げたと言われ、十字架を背負ったとしても、むしろ生き抜いて、後の人生では、それを帳消しにするだけの人助けをせねばなりませんでした。

物語は、その文脈の中で、理解する必要があると思います。

「生きる看護師」。それからは、「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか 」(講談社現代新書)も連想しました。

追記

避難所には、避難民の他、自治体職員、自衛隊員、警察・消防・消防団、ボランティアなど、使命を持った人たちも集まります。

「使命」を持って集まってきた人たちは、その使命を完遂できるだけの、環境設定をしなければなりません。

たとえば、一日中肉体労働をしている人たちに、十分な栄養と休養を与えなければ、二日目からは働けなくなります。

もし管理責任者が倒れてしまったら、避難所にいる全員が困ります。

特攻隊では、特攻前夜は酒席がもうけられ、隊員たちは、深夜まで宴会をしたという話がありますが、隊長だけは早めに休み、翌朝は「澄んだ眼」をして指揮をしたという話を読んだことがあります。皆に無駄死にはさせたくないとして。

ふと、そんな話も思いだしました。

追記2

この辺りの機微は、映画「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」や、映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」を観ても描かれていますね。ドクターやナースたちは、いくら患者に感情移入しようとも、患者と心中はしないのです。そして常に自分たちの活動継続を優先し、患者たちはトリアージで選別します。ある意味、神の代理人のように。

追記3

それらは憲法に規定する公務員的生き方でもあると思います。

つまり、「一部の奉仕者でなく、全体の奉仕者である」という意味において。「誰かと心中することは、一部の奉仕者になってしまいかねない」のですから。

( これは2018.9.28のパレット記事に加筆再掲したものです。)


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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