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『ことば』という観点から読むシャニマス~第2部『句点』編~

こんにちは。青雪です。


今回もシャニマスの『ことば』に注目し、考察していきます。
「なんでそんなことしてるの」という点が気になる方は前回をご参照ください。


今回は句点、つまり"。"に注目します。
なお、今回もSSRコミュタイトルや台詞を明記・提示していますので、それらネタバレについて苦手な方はご注意ください。

興味が薄い人は読む気が全く起きなさそうな章立てです。少しでも面白そうと思ってくれる人がいることを願います。


【第1章】 句点ってなに

まずは前提の整理です。

「句点とは、文の終わりにつける まる(="。") のこと」

小学校の、それも低学年で句点のことを習いますので、知らないという人はいないでしょう("句点"という名称は別として)。
句点について調べると、普段全く意識しないようなルールがあったりしますが、Wikiのリンクを置いておくに留めます。

【第2章】 なんで句点に注目するの

なぜシャニマスの句点に注目するのか、それは改行編と同じく「どういった意図があるのか」を読み解きたいからです。
そもそもシャニマスの文章は、小説のような文字のみで表現されるものとはちょっと違う、独特な文章が多いです。
そう感じる理由はいくつかありますが、文章内で使用される記号が多いというのも理由のひとつです。

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【#ナッツ・チョコジェリー】有栖川夏葉 「☆☆☆メゾンドナツハ」より

たとえば上記の夏葉の台詞。"──"と"。"と"……"が使用されています。
このうち、"──"については「前に表示されていた台詞からの継続性」または「発言中の割り込み、及びそれを受けての台詞」を表現する場合に使われています。

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もしかしたら見落としや別の理由で"──"が採用されている場合もあるかとは思いますが、この理解を覆す文章は見たことがないです。なので"──"についてはこれ以上追いません。

ただ、たとえ理由がわかったとしても、これらの記号を同時使うことは、小説ではあまり多くは見かけません。
例えば上記の凛世との掛け合いをそのまま1ページに書かれた小説があったとすると、凛世が何をしたのか(そもそも何か動作をしたのかも)不明瞭です。それを解消するために、地の文と呼ばれる文章で動作などを説明するわけですし、その場合は"──"は必要ありません。

その点、ゲームであるシャニマスは画面内にてアイドルの動作を表現したり、SEを鳴らすことで物理的、空間的な状況説明をすることが可能です。これによりアイドル達に余計な説明台詞を発させることなく、冗長な説明もつけずに自然な会話表現が成り立っていると言えます。

「で、それが句点と何の関係があるの?」という突っ込みが聞こえた気がします。実は、今回の主題の本質は句点そのものではありません。

シャニマスで句点を使わなければ表現できない状況とは何か

という点こそが今回の要点です。

【第3章】 句点を使わなければならない状況とは

前回の改行編、そして今回の説明で提示した例の中で、句点が使われているものは多くありません。

シャニマスでは、その必要がある場合を除き句点は表記されません。
一言台詞のみの台詞枠の末尾に句点が付いていることは無いのです。
(もし見つけたら教えてください。出来れば限定以外でお願いします。)

台詞枠、とりわけ「台詞枠の限界」というのはポイントのひとつでしょう。シャニマスの台詞枠は横に27文字、2行分の表示スペースがあるようです。

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【インビジブルタイム】風野灯織 「どちらでもない」より

台詞枠だけ見ればもう2文字くらい入りそうですが、ログの画面を見る限り27文字が限界でしょう。
(28文字以上表示される例があればぜひ教えてください。限定以外で。)


次に、システムとして「台詞送りの操作に合わせてアイドルのアクション、SEの発生がある」という点です。

先の章の通り、シャニマスはアイドル達の豊かな表情やアクション、SEによって自然な、臨場感のあるコミュを描いています。
しかし、プレイヤーが台詞送りをしない限り、次の台詞は発せられません。ボイスとアクションのタイミングを揃えるためには台詞送りをきっかけにするしかないのです。

そうすると、ひとつ問題が発生します。それは「短すぎる台詞、及びそれと連続した台詞をアクション付きで表現しづらい」という問題です。

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【放課後★肝試しパニック】園田智代子 「その幽霊さんは大切な友達です」より

上記の樹里の台詞「だな。行くか!」は、2つの文を句点で繋いだ表記としては全コミュ中最も短いものと思われます。
(限定以外で。)

第1部(前回の記事)での検証をもとに考えると、改行を使用すると「だな」が浮くのを避けるために1行にまとめたかったものと思われます。

※改行で表現した場合
だな
行くか!

これも第1部の通りですが、「だな!」や「だな……」としなかったのは、樹里の心情を的確に表現していないというライターさんの判断でしょう。もちろん、台詞そのものの変更はもっと考えられません。

他に考えられる方法は句点を打つか台詞枠を切り替えるかですが、台詞枠を切り替えると、操作までの待機が発生してしまい途切れた印象となります。消去法で句点が打たれた、これが私の解釈です。

ちなみに、この時の樹里のアクション、ボイスともにウルトラかわいい。


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【未知なるFROZEN】西城樹里 「だってあの雲は」より

こちらの例はアクションがありませんが、台詞が長く、改行を入れると3行になってしまいます。連続性を途切れさせないことを意識するならば、句点を打つしかありません。

整理すると、以下の要素を考慮して必要と判断された場合にのみ句点が使用されるもの、と考えることができます。

 ・台詞枠(27文字2行)の中で表現したい
 ・ひとつの台詞送りの中で表現したい

ともすれば1回に盛り込みたい表現や、逆に分けることで印象付けたいといった苦労もあることでしょう。そんな中でのライターさんの構成力や表現力の高さこそが、シャニマスのコミュの魅力を大きなものにしているのだと思います。

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【未知なるFROZEN】西城樹里 「フローズン・ヒート!」より

……見なかったことにしよう。いいね?

第2部の終わりに

今回も特に何かの結論が出るわけでもありませんでしたが、ライターさんが色々考えてくれていることで自然なコミュが出来上がっているんだな~、と感じることができました。

次はいよいよ作中での台詞そのものに切り込みたいと思います!今までよりもぐっと分かりやすく、興味を持ちやすいものになるはずです!


次回「浅倉透の感動詞の種類」編です。

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それでは今回はこの辺で。

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