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習作、1段落で完結する物語、性描写等が苦手な方は #エロくない  やつをどうぞ。Follow me, please! フィクションです。実在の人物や団体、出来事などとは一切無関係で…
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記事一覧

食器洗い、買い物、洗濯、愛

 久々にひどい風邪を引いた。病院にはまだ行っていないのでインフルエンザかどうかはわからない。でも、たぶんインフルエンザだと思う。一昨日会っていた和美がインフレンザA型になったと昨日の朝に連絡してきて、それから程なくしてオレも具合が悪くなり始めた。初めは呼吸器のあたりがゼエゼエするようなって、そのうちに乾いてむせるような咳が止まらなくなった。熱は全く無かったし、寒気も無かったので、まさか自分がインフルエンザだろうとは夢にも思わず、その日は普通にいつも通りに仕事をして過ごした。副

バイオレンス夜・ザ阿佐ヶ谷

 こんな真夜中に来るのはどうせ亜沙子だろうと思ってオレは寝ぼけながらドアの鍵を開けた。オレの部屋の玄関のベルはファミマの来店チャイムと同じ音で、真夜中のアパートにファミマの入店音が、オレが寝ていたら部屋に何度も間抜けな音で響き渡った。真夜中に玄関のベルを鳴らすのは近所に迷惑だからやめてくれとあれほど言ってあったのに、何回も押しやがって、ほんとに迷惑なんだよな、などとブツブツ言いながらオレがドアを開けると、そこに立っていたのは亜紗子ではなくて、スキンヘッドでくまみたいな体型のデ

夜の中に

 わたしは朝が嫌いだ。ごみ収集車の音も嫌いだし、子供達が通学する音とか、街行く通勤する会社員たちの姿とか、モーニングメニューしか売っていないマクドナルドとか、人がぎゅうぎゅうに詰まった満員電車とか、そういうのがとにかく嫌いだと、いつも思う。なぜ嫌いなのかはあまり考えたことがなかったが、わたしはそれでもやっぱり朝が嫌いで、朝の中にいると、嫌な気分になることが多い。基本的に、夜型だからなのかもしれない。朝というのは、新しい一日の始まり、というよりも、わたしにとってはただの夜の終わ

下田のツタヤ

 伊豆とか下田とかに旅行に行くことがここ数年はなんだか多くて、よく目の前を通るような気がするが、中に入ったことは一回しかない。何年か前に一人で車中泊で旅行に来た時のことだった。もう今は別れてしまったが、当時付き合っていた彼女と、ほんとうに些細なことで喧嘩していて、しかも仕事もあまりうまく行っていなくて、オレはなんとなくいろんなことが嫌になって、いつものように旅に出た。と言っても、旅、と言えるほどたいそれたものではなくて、数日分の着替えと、助手席と後部座席をつなげて寝るための寝

割れたオイルパン

 タクシーに苛立つのは、日常的に東京で運転していれば、そう珍しくもないことだろう。過ぎてしまったことは仕方がない、そんなのはわかっていた。とりあえず困ったな、と思いながら、オレは地面に寝そべって、エンジンの下からオイルを垂らす愛車の姿を、途方に来れながら眺めていた。ついてない、そんな言葉が脳裏をよぎったが、少なくとも車が壊れたことに関しては自分に非があるのは明確だったし、怒りや恨みは全くなくて、めずらしく、後悔と自責の念にオレは溢れていた。一台のタクシーが原因ではなかった。山

リナ、六十分、一万二千円

 その夜オレは泥酔していた。確か、外で飲んで帰って、そのまま部屋でさらに飲みながら寝てしまって、深夜二時を過ぎた頃に岡里からの電話で目が覚めた。岡里は大学の頃の友人で、当時、家が近かったこともあって、よく連絡を取っていた。その電話は、本当に大したことの無い用事で、まだ起きてる? ガムテープ借りれない? とか、USBメモリちょっと使いたいんだけどなんか余ってない? とか、そんなような用事だった。とにかく、何の用事だったかは覚えていないが、電話がかかってきて、それでオレは目が覚め

会社のサボり方

 たまに、何のために会社に行くのか、自分が何のために働いているのか、わからなくないと思うことがある。仕事の内容にものすごく不満があるとか、職場の人間関係に著しい問題があるとか、そういうわけでは決してないのだが、会社に行くことがすごく嫌に思えることが、たまにある。中学の担任だった体育の吉村とかだったらきっと、怠けてるだけだ、身体を動かせば忘れる、とか言いそうな気がするけど、そういうもんでもないと二十四歳になったわたしは思う。大体、吉村のことなんてよく思い出したな、と思うが、根性

a land

 ねぇ、ホテルいこうよ。シュンくん、エッチしたいんでしょ? 歩きながらハルカが突然そう言って、まだすこし寝ぼけていたオレは一気に目が覚めた。オレはあと数ヶ月で十七歳になろうとしてた十六歳で、ハルカは二十四歳で、初めて付き合った彼女だった。その頃、オレは学校には行かずに毎日バイトばかりしていて、とにかく退屈だった。そんな中で、突然、ハルカと付き合うことになった。好きな子がいたことはそれまでにもたくさんあったし、女の子にはいつだって興味があったが、誰かと付き合うのは初めてのことだ

麻布トンネル

 半年くらい、麻布十番で暮らしていたことがあった。暮らしたというよりも、その頃付き合っていた彼女の家が麻布十番にあって、ただそこに転がり込んむようにして入り浸っていただけ、というほうが適切な表現かもしれない。その彼女は真由という名前で、デザイナーとして働いていた。真由は、家の広さとか新しさとかよりも、立地とか最寄り駅がどこかとかを優先に考えるような女で、稼ぎが特別に多いわけではなかったが、港区に住むというのは、彼女の中では東京で暮らす上で譲れないことのひとつ、だったらしい。真

阿佐ヶ谷の夜が乱れる

 ファミリーマートの店内には、来客を告げる人感センサーのチャイムがついていて、客が入ってくると独自のチャイム音が鳴るようになっている。べつにファミリーマートのために専用に作られたチャイムではなく、たしか、パナソニックの商品のために作曲されたチャイムだったはずだが、ファミリーマートであまりにもよく耳にするので、ファミマの音だ、と思っている人も多いだろう。どういうわけか、阿佐ヶ谷にあるオレのアパートの玄関のチャイムはそれで、宅急便が届くだけでファミマの入店音と同じ音を聞くことがで

明け方、むき出しの肩

 若かった、そのたった一言で片付けてしまうことができるものなのかどうか、いまひとつ自信がないがそれでもとにかく、当たり前のことかもしれないが、あの頃のオレは、今のオレよりも若かった。何年前になるのだろうか。飽きもせずに明け方まで互いのからだを触り合ったり、キスをしたりして、過ごした夜があった。その頃、美穂とはまだ付き合って二週間くらいで、いまにして思えば、オレの美穂への気持ちが最高に高まっていた時期だったのかもしれない。まだ付き合いたてで、お互い知らないことも多かったし、オレ

沖縄料理

 なんで沖縄料理だったのか、今でもその店を選んだ理由が思い出せない。なんとなく、イケてる感じ、がするような気がして、沖縄料理を選んだというだけかもしれない。とにかく、オレはその店のほの暗い店内のテーブル越しに由美子と向かい合って座り、沖縄料理を食べた。由美子と付き合っていたのは、一週間だけだった。セックスもしなかったし、手さえも繋いでいない。結論からいうと、沖縄料理を食べたその夜が、恋人として会う最後の夜になった。由美子と付き合ったのは、今から思うとたぶん、お互い何かの間違え

検査薬のよる

 いつもしっかりコンドームを使っていたし、生で挿れたことだって一度もなかった。それに、妊娠しにくい体質だと婦人科の先生に言われたことがある、と奈苗もいつか自分で言っていた。奈苗の生理周期はもともと不安定な方だったし、長いと一週間くらい前後することはいままでにも何度かあった。それが、今回はもう予定日から二週間を過ぎていて、そのせいで、会う度にオレは詰め寄られていた。ねぇ絶対絶対妊娠じゃないよね? いま妊娠なんてしたら親にも園長にもたぶんなんて言われるかわかんないから。ほんとにほ

二十二歳

 たぶん、それは今までの人生のなかで、おそらく最悪の誕生日の迎え方だった。別に、自分の誕生日を祝うということに特にこだわりはないし、むしろ、祝ってもらったりするのが苦手で、誕生日はいつもどおりに普通に過ごしたいと常々思っている。SNSに祝いのコメントとかメッセージとかが適当に届いたりするくらいであとはいつもどおり、というくらいがたぶんオレにとって一番快適な誕生日の過ごし方なような気がする。二十二歳になる前日、つまり二十一歳最後の夜、おれはなにをどう間違えたのかよくわからないが