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0503 暑苦しいほどの焼きそば愛(レシピ付き)。

最近知ったことがある。
関西以外(? 関東だけ?)の人と話しているとき、彼らの食卓においてウスターソースの存在が薄いのだ。

「中濃の薄いやつっていうイメージ」

というフレーズを耳にしたとき、衝撃のあまり、手が震えてその振動で手にしていたソースのフタがあきそうになったほどだ。

関西人(いささかざっくりした言い方だが)は、ソースといわれても、どのソースを指すのかわからない。

おおまかには、とんかつやお好み焼き用の中濃ソース、フライものや焼きそばに使うウスター系のしゃばしゃばソースがある。
少なくとも自宅の冷蔵庫には、「とんかつソース」「ウスターソース」の2本が常備されている。

もし料理レシピに「ソース大さじ2」などと書かれていようものなら、「適当なこと抜かしやがって、どっちのソースかわからんやんけ!」と途方にくれてしまう。

うちでは、とんかつ=オリバーソース、お好み焼き=ブラザーソース、焼きそば=ばらソースの焼きそば用、ウスター=ばらソースのウスターソース、串かつ=ヘルメスの串かつ屋さんソースといったふうに、用途にわけて揃えている(加えてばらソースのドロソースは一升瓶を人からもらったので、小さな容器に詰め替えて常備している)。

なぜか。
フライなどの揚げものがへたでも、べちゃっとしたお好み焼きになっても、あんまり美味しくない焼売を買ってしまったときも、それぞれに美味しいソースをかけるだけで、いきなり味のレベルがアップするからだ。

良い調味料というのはそういうものだろう。
しょぼい素材や未熟にもほどがある調理テクニックを、全方位カバーしてくれる力量があるということである。

ソースのなかでも、とりわけウスターソースの守備範囲は広い。オールマイティのスタンドプレイヤー。頼りにしまくっている。

ナポリタンスパゲティや、カレーの隠し味にももちろんウスターソースを入れる。よね?(東京の人も?)

神戸は中学校区5つほどごとに(なんとなく)「地ソース」と呼ばれる、地元の味となるソース工場があるので、それぞれが「自分の地元の味」を持っている。

子どもの頃にお好み焼き屋さんで、お好み焼きや焼きそば、たこ焼きなどでそのソースの味を身体にたたき込まれて、大人になると「よその味」を体験するようになる。

わたしがいま好んで食べているばらソースは長田(ながた)の地ソースなので、正確には「自分のソース」ではない。でも、長い間愛用しているので、もうゆるしてもらえると思う。

だからどうした。
という話なんです。はい。

これで終わるのもなんなので、わたしの自宅焼きそばの作り方のこつをご紹介したいと思います(頼まれてもいないのに)。

材料

◎焼きそば
◎豚バラ肉
◎キャベツ
◎青ねぎ
◎粉かつお
◎ウスターソース
お好みで青のり、一味など。

1)フライパンに少し油をひき、温まったら豚バラ肉を重ならないように広げる。豚バラ肉は縮むので、4センチくらいに切っておくといい。脂が出てかりかりになるまで焼く。軽く白こしょうをふっておく。


2)
片面がかりかりになったら、箸でひっくり返す。炒めてはいけない。あくまで「焼く」のがポイント。
両面がかりかりになったら、キャベツをのせる。
キャベツは、一枚ずつはがして芯を取っておき、繊維に対して直角に包丁を入れると、食べたときに繊維が歯にあたらず、食感がいい。

キャベツをのせたら、すぐにさっと水とおしした麺をのせる。そのまま10秒ほどおいてキャベツを軽く蒸す(甘みが出る)。


3)
全体に、豚バラ肉からでた脂をまわすように混ぜる。このときも、炒めるというより、具材をぜんたいに混ぜつつ、麺を鉄板に焼きつけるイメージ。


4)
油で麺がテカって、キャベツがしんなりしてきたら、粉かつおをどばどばっとかける。
この粉かつおで旨みが強くなる。家に花かつおしかない場合は、ほぐして粉にするといい。


5)粉かつおが全体になじむようにさっと混ぜたら、ウスターソースを投入。好みの味に途中で足せるので、どばどばどば、といかず、どばどば、くらいでいい(わかりにくくてすまない)。足りないようなら途中で足す。


6)
ポイントは、ソースと麺を「絡めるように炒めない」こと。
あくまで「ソースを焼く」イメージで、熱い鍋面を使ってソースの水分を飛ばしていく。具と麺は勝手に混ざる。
このときに、ソースの酸味がほどよく飛び、甘みと旨みが凝縮する。焼きそば用ソースや、ウスターソースは、そうして「熱が入って味が変化する」ことを前提に作られています。
麺がべちゃべちゃしている状態では、まだ水分の飛ばしが足りない。家庭用のコンロの強火で十分に飛びます。

7)
これぐらいまでソースの水分が飛んだら、好みで小口切りの青ねぎを入れて、さっと混ぜてねぎに軽く火をとおしたら完成。

紅ショウガを添えると理想的なジャンクさになる。

今日は春キャベツを使ってしまったので、キャベツの水気が多くてややへなちょこだった。固いくらいのキャベツの方が、麺とのメリハリが出てわたしは好みなんだけど。

作り方の師匠は、自分が長年通っているお好み焼き屋さんの大将。カウンターでかじりつくように見て覚えた。でも、やっぱりお店で食べる焼きそばは100倍美味しい。鉄板の火力もソースも、麺も、豚バラ肉も、キャベツの包丁の入れ方も違う。どれだけ真似しても。

だからこれは、うちの味。

永遠に追いつけない師匠。



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