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「私の好きな #料理本リレー 」バトン

Instagramにて友人であり仕事仲間でもある校正者の牟田都子さんから、「私の好きな #料理本リレー 」バトンを受け取りました!
ひゃー。

これは、主婦と生活社・料理編集 @ryourinohon の皆さんが始められたもので、愛読している料理本や仕事で関わった料理本などを紹介するリレーです。

わたしは料理本を「活用する」というより「眺める」のが好きで、特に「食べたことのない料理」を見るのが大好物。どんな味なのかなあ…と紹介文やレシピや写真から想像して、まだまだ自分が体験したことのない「美味しい世界」があることに無性に興奮するのです。

好きだけど会えない人のエロ本を眺めるようなものでしょうか。
ぐふふ。

ものすごく迷って絞りこんだのが3つのチーム(チームって!)。めちゃ長いのでお暇なときにどうぞ!


1)母の愛用していた「暮らしの手帖版」シリーズ

■常原久彌『一冊の料理』
しょっぱなのレシピは「とりのシュニッツル」。シュニッツルなんて聞いたこともなかった…。
簡単にいうと叩いて薄くのばしたカツレツです。本来はウイーンの料理で仔牛なんだとか。
といった外国の料理を、家庭でも作れるようなレシピで紹介されています。
初めて目にしたとき、すべてがハイカラでお洒落に感じて、外国旅行をするように興奮したことを覚えています。
特筆すべきは付録でしょうか。
超簡略化されたレシピ集があれば、大型判を台所で開ける必要がありません。
本当に作って食べて欲しいという編集者や著者の気持ちが伝わってきます。

**
■『おそうざい十二カ月』**
揚げなすとかたたきごぼうとか、その名のとおり普段のおかずが紹介されています。
でもわかめの茶碗蒸しなんて食べたことないなあ。
そんな「よそのお宅のごはんをちょっとのぞく」ような愉しさがあります。

■『おそうざいふう外国料理』
「ジャワふうカレーごはん」や、「中国ふうたのしみそば」なんていう、今だと「カレーチャーハン」「中華冷麺」と誰でも単語で言える料理を「~ふう」と表現していた時代の、未知なる料理へのわくわく感が伝わってきます。
料理名もそうだけど、平野レミさんのような勢いを感じます。
食べるのって楽しいよねーっていう。

母は外食をほとんどしない人なのに、料理道具はプロ用の専門店で購入し、中華街の乾物店で購入したフカヒレを戻すことからはじめてスープに挑戦するような「料理に真面目」な人でした。
ただ、その真面目さが暴走して、食べたことない味を再現しようとするものだから、びみょーな仕上がりになっていたことも多かったなあ。
母のグラタンやシチューやカツなどはとても美味しかったけれど、干しエビからスープをとった中華料理ふうの「なにか」などは、子どもには(大人にもかな?)あんまり嬉しくなかった気が…。
もうぼろぼろの本だけど、子どもの頃からわたしもよくうっとりページを捲っていた思い出があるので、この三冊はやっぱり捨てられずに、今もときどき開いて眺めています。


2)昔の人が食べていたごはん

■原田信男編『江戸と料理の食生活』

江戸時代の食文化をひもとく読みものです。
「日本ビジュアル生活史」とあるように、写真や資料画像が多用されていて、それを見ているだけで、お江戸の人たちを別世界の人間のように思っていたけれど、結構同じようなものを食べていたのだな、ごはんものでも豆腐でもこんなに多彩な調理法があるのかすごいな、みんなめっちゃ食いしん坊だなと、にわかに親近感がわきます。

食べるというのは、人間が毎日毎日欠かさず行ってきたことで、それがこうして歴史をつないでいる。
当たり前にあるけど、本当に大切な営みなんだなあなんて改めて感じたり。
食材や調味料、物流など、多面的な切り口に、編集者としては感心させられる一冊でもあります。


3)実際に作ってる「トルコ料理本」シリーズ

■口尾麻美著『トルコで出会った路地裏レシピ』

イスタンブールのロカンタ(食堂)や、メイハネ(居酒屋みたいな感じ)で定番の料理が、写真とレシピ、そしてイスタンブールの街角カットなどと共に詰めこまれた一冊。
一昨年、昨年の夏に滞在したトルコは、何を食べても美味しい国でした。
野菜は味が濃くみずみずしく、スパイスは香り高く、トルコ家庭料理では、日本の味噌のような存在である「サルチャ」というトマトペーストは、日本のそれとは異なる濃厚な甘みで食欲をぐいぐい刺激します。
あんまり美味しくて楽しかったので、帰国してから、こうした本を買い集めて、イスタンブールで食べた料理も、まだ食べたことのない料理も作ってみています。
この本はレシピがシンプルなのでとても簡単に本場の味に辿りつけます。
写真も街歩き好きにはたまりません。
外出を控えるようになってから一番活躍している本です。


■荻野恭子著『家庭で作れるトルコ料理』

トルコ料理に欲が出てきて、もっとたくさんの料理を知りたい、と辿りついたのがこの一冊。
先の路地裏レシピ本が「街歩き」要素が強いのに対して、「料理本」の要素が濃いのがこっちかなあ。
レシピは同じ料理(どちらも定番をおさえているので)ものも多いけど、さらにバリエーションを広げて見せてくれる感じです。
著者の荻野さんは料理研究家で、ロシア料理をはじめたくさんの料理本を出されています。

■高橋由佳里著『トルコで私も考えた トルコ料理屋編』

トルコに興味をもった人は必ず読むのではないでしょうか。高橋由佳里さんの『トルコで私も考えた』シリーズを。
わたしも初トルコの前に、入門編からシリーズをコンプリして、トルコの基礎知識を身につけました。
そのシリーズ完結編ともなるのが、高橋さんとトルコ人のご主人がトルコ料理屋さんを始めたエピソードを綴ったこの一冊。
レシピもたくさん掲載されていて、絵と文字で説明されるので、写真とはまた異なる感じに想像が膨らみます。
美味しそうなんだなあ。
そして、実はこのトルコ料理店がわたしの家から5分くらいの場所にあったので、いつか行こうと思っていたら、もう閉店されてしまって本当に残念。
いつかどこかで再開されたら、この本を手にうかがいたいです。

■井藤聖子著『トルコ料理の誘惑 私を虜にした食と文化』

サブタイトルに「わたしのことやん!」となり、手に取った一冊。
16年間トルコで暮らしていた著者が、研究者らしくトルコ料理の食文化を地理や歴史背景などから丹念にひもといた内容です。
どちらかといえば、学術書まではいかないけれど「きちんと知る」ための本。
でも、さすがに長く生活していただけあって、ところどころに著者が実際に見聞きしたエピソードが入っていて、現地の空気が伝わってきます(スパイスや肉の焼ける匂いも)。
巻末にレシピも紹介されています。モノクロの料理写真で簡潔な文章なのに、やっぱり美味しそう。笑

さて、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!

次は、友人であり、敏腕エディターで、「きょうの140字ごはん」の寿木けいさんの新刊『閨と厨(ねやとくりや)』などの担当編集本のある伊皿子りり子さんさんにバトンをお渡しします。
どうぞよろしくお願いいたします~!

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