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あおヤギさんからの手紙 #11 ピンチに手を差し伸べるのが政治の役割 給付金と行政の対応

こんにちは、衆議院議員の青柳陽一郎です。(神奈川6区 横浜市旭区・保土ケ谷区)

4月に入り、新年度が始まりましたね。
新入生、新社会人のみなさま、おめでとうございます!
今後ますますご活躍されることを心より願っております。

私も、新たなスタートを切るつもりで頑張っていきたいと思います。

さて今回は、コロナ禍の給付金について投稿します。

要件を満たすも申請ミスで… 家賃支援給付金

地元をまわっていると、事業者の方々がコロナ禍のために資金繰りに困っているという声を多く聞きます。特に、店舗や事業所の家賃が大きな負担になっているということで、地元をまわる際には政府からの支援策を紹介し、積極的に利用してもらことができるよう情報を届けています。

そんな中、家賃支援給付金を申請したが、不支給になってしまったという方から相談を受けました。

「要件を満たしているのにミスをしてしまい、給付を受けられなかった」とのこと。

その方は、申請をした際にミスをしてしまったことを認めながらも、何とか助けてほしいと私に泣きながら訴えたのです。


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▲横浜市保土ケ谷区天王町にある青柳陽一郎事務所

家賃支援給付金とは、中小企業や小規模事業者を対象とした給付金制度で、昨年の緊急事態宣言の延長等で売上が減少した事業者の事業継続を支援することを目的としています。支払賃料に基づき法人に最大600万円、個人事業者に最大300万円支給されます。

給付要件は、昨年と比べてひと月で売上が半減しているか、もしくは連続する三か月で売上が30%以上減少しているか、また賃貸借契約が確認できること、支払い実績が確認できることなどです。

この制度は、厳しい経営状況に陥っている事業者を一律的に支援するために、事業内容の良し悪しによって給付が決定される審査を伴う公募型ものではなく、要件を満たしていれば誰もが給付を受けられるものです。まさに、事業者の方々を救うための制度です。

現在申請は締め切られています。

申請は締め切られてしまいましたが、ミスによって不支給になってしまった方を救済してほしい。

そのような思いから、4月2日経済産業委員会にて、梶山経済産業大臣と経産省の政府参考人に家賃支援給付金について質疑を行うこととなりました。

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まず政府参考人に不支給の理由について答弁を求めると、提出書類に不備があった場合には、申請者には積極的に修正を求めるなどして丁寧なサポートを行うようにしていたが、一方で、修正してもらう際には期限を設けて、その不備解消期限までに適切な修正が行われなかった場合には不給付としたとのことでした。

一方、家賃支援給付金の申請件数は約108万件、給付件数は約104万件、給付額は約9千億円で、予算の未消化額は約900億円。

つまり、不給付件数が約4万件あり、予算もまだまだ残っているうちに家賃支援給付金事業は終わったということでした。

予算が残っているのであれば、要件を満たしていながらミスをして不支給となってしまった方を救えるのではないか。

そう思い、今度は梶山大臣に対して、再度申請期限を延ばしてミスをした方を救ってあげるべきではないかという旨を伝えました。

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すると、「大部分の申請者の方には、様々な事情の中で、期限内にしっかりとご対応いただいているわけでありまして、全ての申請者を公平に扱う観点からも、申請者の事情によって期限を過ぎた修正を受け付けることは困難である」「期限が過ぎた後に期限をまた変えるということはなかなかやはりできない」とのこと。

何度も何度も頼んでみましたが、終わってしまったものは難しい、という回答しかもらえませんでした。

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家賃支援制度は、法律ではなく予算措置で、それは綱領と規則によって定められています。しかし、この申請期限・スケジュールはそのどちらでもなく、内部ルールによって決めたものなので、それは大臣の裁量で決められるものです。大臣が救済しようと言えば、救済できるものです。

国会の議論を通じて、大臣の一言でなんとか救済してほしかったのですが、それは叶いませんでした。

大臣の政治姿勢は官僚的で残念と言わざるを得ませんでした。

自主的に時短をしていたにもかかわらず… 神奈川県時短協力金

政府主導の給付金事業だけでなく、県が実施している給付金に関しても、地元の方から不支給になってしまって困っているという声をもらいました。

私の地元である神奈川県では、夜間営業の短縮に協力した店舗に協力金を支給する「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」を実施しています。

協力金の支給要件(第3弾)は、通常、夜間時間帯(22時~翌朝5時)に営業を行う事業者が、5時~22時までの時短営業を行うことが主な要件でした。

地元の方は時短営業をしていた為、神奈川県に協力金をもらおうと申請をしましたが、結果は大部分が不支給となったとのことでした。

理由は、普段23時まで営業をしていたが、神奈川県が時短要請(12月3日)するたった2日前の12月1日から自主的に21時に営業を終了していたため、通常の営業終了時間は21時であるから時短営業には該当しない、と神奈川県が実態とかけ離れた間違った判断をした為でした。

東京都が神奈川県より早いタイミングで時短要請をしたので、それに倣って時短を始めたとのことでしたが、これが徒となり時短協力金は不支給の決定となってしまったのです。

本来であれば、協力金第3弾と第4弾合わせて122万円支給されるはずでした。
自主的にコロナ対策として時短営業をしていたのに、こんな悲しいことはありません。

このケースについて、立憲民主党の赤野神奈川県議が県議会で質問をしたところ、神奈川県は「協力金の対象となるかどうかは、時短営業を要請した際の営業実態を基準にしています。…協力金第3弾の場合は、12月3日の対策本部会議で時短要請が決定されましたので、12月3日の時点で22時以降に営業していることが協力金交付の要件」と答弁をしました。

時短要請をした12月3日の時点で当該店舗は21時に終了しているのであるから、「時短営業」をしたという要件を満たしていないというのが神奈川県の主張で、あくまで給付は行わないという姿勢です。

県に先んじて感染症対策を行っていたにもかかわらず、神奈川県のこの回答は行政として冷たすぎるのではないでしょうか。
何のために、「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」と銘打ってこの事業を行っているのでしょう。

今回は事務所に声を寄せていただいたおかげでこのような事例が起こっていることがわかりましたが、泣き寝入りしてしまっているケースも数多くあるかもしれません。家賃支援給付金、時短協力金に加え、持続化給付金、休業支援金でも同様の事態があるでしょう。

制度の目的と利用者の視点に立ち返り、本来支給されるべき人が支給対象から外れてしまうといったことがないよう要件を再度検討したり、時短に協力した事業者を支援できるよう制度の運用を見直してもらいたいと思います。

国民目線の行政の対応を

給付金が出るか出ないかで、今後店の経営を続けることができるかどうか、将来が大きく変わってきます。まさに死活問題です。

事業者の方々は今、本当に困っています。昨年から感染拡大が始まり、それから一年経っても、未だにこの状況がいつ収まるのか見通しも立っていません。

そうした苦しい中で、なんとかしてこの状況を乗り越えたいと思って給付金を申し込んだ方々が、要件を満たしているのに、自主的に時短営業を行っていたのに給付金を受け取れないという事態が起こってしまっています。

ミスによって不支給となれば、その方を追い込む事態になったり、分断を招くことにもつながりかねません。困ったところに手を差し伸べるという制度の主旨も捻じ曲がるのではないでしょうか。

行政府には国民が日々どのような気持ちで暮らしているのか改めて想像をしてもらい、そして、どのような目的で、支援金、給付金事業を実施しているのか、制度の趣旨に立ち返って、対応を検討してもらいたいと思います。

それが政治の役割のはずです。


衆議院議員 青柳陽一郎