見出し画像

あおヤギさんからの手紙 #5 新型コロナ対策 国民に刺さる情報発信を

こんにちは衆議院議員の青柳陽一郎です。

関東でも雪の予報が出るほど、気温が下がる時期になってきました。
石造りの国会議事堂内は底冷えするような寒さです。

永田町では1月18日に第204回通常国会がようやく開会しました。

菅総理は国会冒頭施政方針演説を行い、新型コロナウイルス感染症対策からデジタル政策まで今後の政権運営について述べました。これに対し代表質問が行われました。立憲民主党の枝野代表は新型コロナウイルス対策について、総理は正常性バイアス(自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価してしまう人の特性)にとらわれて、危機管理の要諦とされる最悪なケースを想定して施策を打ち出すことができておらず、対応が後手後手にまわっていると指摘しました。

しかし、総理は対する答弁で、専門家の意見を仰いだ上での政策判断だと述べました。


「その指摘にはあたらない」

菅総理は官房長官時代から記者の質問に対して正面から回答することを避け、この言葉を多用してきました。

森友・加計問題から桜を見る会に至るまで不都合な真実を一貫して認めず、重要な情報や公文書を隠すばかりで、疑惑解明に説明を尽くそうとしない政権の姿勢に、国民は不信感を募らせてきました。

官房長官時代、こうした対応でなんとか事態をすり抜けてきたがために、いま総理となって新型コロナウイルス感染症という最大の危機に直面しても、国民に対して説明を尽くし、理解を求めるための十分なメッセージを出すことができていません。結果、感染防止に至らず、医療崩壊が迫り、国民の命が犠牲になるという最悪の形で、さまざまな政権の問題が露呈することとなりました。

私は、安倍政権時から長年続いてきた一強政治の弊害となっている情報開示や公文書管理の在り方、国民に対する説明責任の考え方、見たいものだけ見る政治風土が今まさにここまで深刻な事態を引き起こしてしまったのではないか、困っている国民にメッセージが届かない状況をつくってしまったのだと考えます。


新型コロナウイルス感染抑止のためには、国民の協力が不可欠です。そのためには、国民が政府の政策を理解してもらえるようなるべくわかりやすくデータと根拠を示し合理性を説明しなければなりません。そしてそれは最高責任者たる総理大臣が前面に出てその責任を全うしなければこの危機は乗り越えられないでしょう。

有効性のわからない場当たり的な政策判断を繰り返せば、国民はついてきてくれません。今月8日に緊急事態宣言が一都三県を対象に発出されたとき、何故対象地域は一都三県のみなのか、大阪は含まれないのか、何故夜八時までの時短なのか、ランチは良いのか、宣言解除の要件は何かなど、総理は十分に説明できず、数日後に対象地域を拡大するということがありました。また特措法の改正、GoToキャンペーンの中止も前言撤回し急遽表明しました。こうした対応は場当たり的、後手後手に見られても仕方ありません。

平時から国民に対して説明責任を果たして理解を得ようという発想が欠如しているため、周りが見えなくなってしまっているのではないか、中途半端な施策を場当たり的に発出してしまっているのではないかと思います。


感染抑止と経済活動との両立を図らなければならないことは理解しています。しかし経済活動を早く回復するのであれば、今は感染者を抑え込むことに注力するべきです。感染者を抑え込めなければかえって経済が縮小します。そして医療と検査の体制が逼迫し、感染収束はさらに遠のいてしまうという悪循環に陥ります。枝野代表が提案した「ゼロコロナ」を目指し、その後経済活動再開に向けた施策を打ち出す方が、結果として経済にもプラスで効率的ではないでしょうか。

また残念ながら今我が国のコロナ感染者に対する医療提供体制は十分ではありません。医療崩壊が現実に迫る中、中途半端な対応は医療にも経済にもマイナスです。ここは一刻も早く、徹底的に感染をおさえこむ局面だと思います。


新型コロナウイルスのような危機に対応するには、民主主義体制ではなく独裁体制の方が優っていると言われることがありますが、私はそうは思いません。政府が国会での議論を軽んじ、国民への説明責任を果たそうとしないこと、情報発信をおろそかにしていることが我が国の民主主義の劣化を招き、それこそが今回の事態を悪化させた一因ではないかと考えています。

民主主義国家で政府と国民が一丸となって終息に向けて取り組み、感染防止に成功した国はあるのです。政府は国民と向き合って正しくコミュニケーションを図るべきではありませんか。

今必要なことは総理の言葉、総理の国民へのメッセージです。

国会はまさにこれからが正念場、特措法改正をはじめとするコロナ対策、令和三年度予算など大きな焦点となります。
国民のいのちとくらしを守るために、総理には国会での誠実な答弁を求めます。

以上、青柳陽一郎でした。