見出し画像

青柳総本家一筋50年「この仕事は面白い」【青柳総本家の匠インタビュー:瀧川さん】

創業100年以上の歴史をもつ、青柳総本家。その歴史の中で、青柳ういろうの味を支える匠の存在があります。今回は、新卒で入社してから今年72歳を迎え、今もなお青柳総本家を支えてくださっている瀧川直人さんに取材しました。

青柳総本家、ういろう一筋の50年

-瀧川さんと青柳総本家の出会いについて教えてください
私は大学が農学部だったのですが、当時はお菓子メーカーへの就職が多かったんです。同じように私も、お菓子メーカーでの就職を考えていました。大学は東京だったのですが、地元が名古屋でして、地元で就職先を探していて青柳総本家とご縁があったという出会いになります。

-入社後はどのような仕事をされていたのでしょうか
衛生管理関係の業務をしていたこともありますが、基本的には一環して、ういろうの商品開発を担当していました。

定年後もういろうに向き合い続ける理由
この仕事は面白い

画像1

-定年後も青柳総本家で働き続けていますが、どういう意思決定だったのでしょうか
定年を迎える際に、引き続き会社に残って開発をお願いしたいという打診を受けました。これまでと違う人生を歩むという選択もできましたが、この仕事は面白いんです。

実のところ、50年前の入社時は「ういろう」に対して特に思い入れがあったわけではなく、地元の会社だったからという理由でした。しかし、50年以上ういろうに向き合い続けてきた中で、今では「自分にこの道が合っている」と思うようになったんです。

-どういったところが面白いに繋がっているんでしょうか
最初できなかったこと、難しかったことができるようになってくるところでしょうか。ういろう作りは「探求心」が強い人に向いていると思うようになったのですが、本当にういろう作りは奥が深いんです。

青柳総本家が提供しているういろうには大きく2種類。「青柳ういろう」「生ういろう」とあります。「青柳ういろう」はおいしさをそのままに、真空技術により賞味期限が伸び、大量生産が可能です。この商品は機械を通して大量生産ができ、1つの味で作り上げています。一方で「生ういろう」は職人の手で作られているため、違う味のういろうを重ねたり、飾り付けをしたりと、「表現する」ことができるんです。

私は定年後「生ういろう」の商品開発を担当しているのですが、組み合わせは無限にあるので、今でも勉強の毎日で、さまざまなところで情報収集をしています。

-「情報収集している」というのを具体的に教えてください
ういろうに限らず、他の和菓子、洋菓子も含めて他社の商品を定常的にチェックしています。今はコロナ禍で行けていないですが、元々旅行が好きなので各地のお菓子なども参考にしますね。見た目や、実際に食べてみて応用できないか常々考えているんです。テレビなどで紹介されていた商品は、なるべく試食してますね。このように、いろんな情報を収集してういろう作りに活かしています。

最高傑作や、白味噌を使ったういろうも
匠がオススメする、生ういろうTOP3

-本当にういろうの組み合わせは無限にあるのですね。これまで瀧川さんが作ってきた中でTOP3を挙げるとすると何でしょうか?

そうですね。3位からいくと、お正月に販売する「お年賀ういろう」です。
こしあんと和栗餡入りの白味噌風味のういろうを二層にし蒸し上げた「迎春」と、大納言小豆入りこしあんに和栗の甘露煮入りの濃茶のういろうを合わせた「老松」の2種類を作りました。

画像2

続いて、ひとくち生ういろうの「吉野」ですね。
季節商品として4月に発売した商品になります。「吉野山」の山桜をイメージしまして、高級白小豆を使用した生ういろうです。ういろうの生地に餡を入れ、桜葉で包んでいます。

ひと生吉野_高

最後に、1番と思っているのは6月からの季節商品として発売する「大島」です。
この商品は6月発売ということで、日本における旧暦6月の異称である「水無月」が着想の起点です。ただ、そのまま「水無月」でなく、もう一工夫したいと思っていました。そこで王道の組み合わせから、少し変わった組み合わせまで試す中で、黒砂糖である大島糖とわらび粉を使ってみたらどうかなという考えに至り、できたのが「大島」です。

結果として、自分でも想像以上の味に仕上がり、現時点では100点と思う出来で、最高傑作の味となりました。

ひと生大島_高

-最高傑作の「大島」。発売が楽しみですね。6月から発売ということで、何か読者にメッセージはありますか

青柳総本家は「お客さまを笑顔に」を掲げて、日々精進しています。店舗では定期的に新しい商品をお出ししていますが、お客様に笑顔をお届けできるよう、世に出す商品は自信をもって食べていただける商品のみです。その中でも、6月発売の「大島」はみなさまに楽しんでいただけると思っています。ぜひ手にとって、食べてみて多幸感を味わってほしいですね。

画像5


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?