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選んだことに、胸を張って

 日々の生活は、何かを選ぶことの連続だ。ご飯は何を食べるのか。どの服を着て、それにはどの靴やアクセサリーを合わせるのか。

 ご飯は、メニューを先に決めるのではなく、冷蔵庫にあるものを適当に組み合わせて錬成するし、困った時の冷凍食品様々である。このコーディネートは、全く同じものを先週も着ていた気がすると思っても目を瞑る。

 日々の些細な選択に、頭を悩ませている余裕がない。育児に、家事に、仕事に、追われる毎日を過ごしている。


 ただ一方で、人生が大きく左右されるものを選んだターニングポイントというべきものは確かにあって、それが連綿と繋がることで、これまでの私の人生はできている。

 でも、私の人生に限って言うと、思い返してみても、大事な場面で自分で“これだ!”と確信を持って選んだことは案外少ないかもしれない。


 高校は、家から近くて文化祭が楽しそうだったからそこにした。家が遠かったら行ってなかった。

 就職先も、たまたまインターンシップで行ったところに流れでエントリーして落ちて、受験のタイミングとかで消去法的に選んだ。

 結婚も、相手が早くしたいという意思がなければ、もう少し後でもおかしくなかった。

 我ながらふわっと生きてるなと思う。


 でも、昨年、確信を持って、自分で選びとったものがある。
 この春からの転職だ。

 産育休を挟みつつ11年働いた職場はとても遠かった。片道1.5時間。

 産後は時短にしてもらっていたけれど、保育園の送りや、子どもがぐずったり、職場で着替えたりする時間も考えて、始業の約2時間前に子どもに「行くよー!」と声をかける生活。

 時短なのに、近場でフルで働く人と変わらない出勤時間。

 日々の掃除や散らかった部屋は見て見ぬふりをして週末に、日曜日には作り置きをして、何とかまわる生活。

 でも、何とかなるのは、下の子が未就学の時短を取れる間だけ。フルタイムになると、朝の7時に出て、夜の19時に帰ることになるが、あいにく地域の学童は7時半からで。



『今やめるのか』


『下の子が小学校に入る5年後にやめるのか』



 選択肢は2つに1つ。それなら、少しでも若い方がいいんじゃないか。打算的な頭が働く。ただでさえ、育児中の転職は難しいと聞く。

 正直、前の職場は人間関係に恵まれていて、時短にも理解があり、そこから転職するのは勇気がいった。


 私の大事なことは何?

 うんうん頭を悩ませて、まず何より“家族”、そして“働き続けること”という結論に辿り着いた。


 もちろんしんどい日もあるし、家でだらだらしていたいとは常に思っているけど、それでも目に見えた成果が出る仕事が好きで。
 あと、大きな声では言えないけど家事が苦手で。

 お互い働きながら、夫婦で協力して家事をできる今が1番良いと思っているので、そこは譲りたくなかった。

 選んだのは、同業で、家から近い職場。今のところ、前の職場でもやっていた仕事半分、新しい仕事半分という感じで、何とか残業せずに働けている。

 近くなった分、フルタイムにしたので、給料も上がった。

 今後の異動などで自分の職場や周りの人がかわることでしんどくなるタイミングは来るかもしれないけれど、今のところ概ね満足なので、上々でしょう。

 これまで、ふわっと生きてきた。そう表現したけれど、じゃあ後悔したものはあるか、というと全く無い。

 たまたま周りに恵まれただけ?それもあると思う。

 でも、自分が後悔しないように、楽しいことや嬉しいことを選んで、そしてしんどいことにも真摯に取り組むという選択肢を選んできたのが、積み上がった結果が今なんじゃないか。

 今回転職をしたけど、じゃあ最初の就職は間違っていたかと言われると、そうは思わない。前の職場で培った経験は、私の中で確実に生きている。

 何かを選ぶこと自体も大事だけど、それが失敗だったかもと悩むのではなく、失敗じゃなかったと言えるように日々の様々を選び取り、時には選び直すことで前に進む。

 これまで、そうしてきたし、これからもそうしたい。

 もしかしたら、今後、何かしら仕事を辞めないといけないタイミングは来るかもしれない。
 それでも、“自分で選んでよかったことは転職”だと。未来の私が胸を張って言えるように、いけるところまで突っ走りたい。

#自分で選んでよかったこと

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