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痛みを知って大人になるかな

『17歳の瞳に映る世界』(アメリカ-2020)

解説
新鋭女性監督エリザ・ヒットマンが少女たちの勇敢な旅路を描き、第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)受賞したドラマ。友達も少なく、目立たない17歳の高校生のオータムは、ある日妊娠していたことを知る。彼女の住むペンシルベニアでは未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けることができない。同じスーパーでアルバイトをしている親友でもある従妹のスカイラーは、オータムの異変に気付き、金を工面して、ふたりで中絶に両親の同意が必要ないニューヨークに向かう。性的アイデンティティに悩む青年を描いた「ブルックリンの片隅で」で2017年サンダンス映画祭監督賞を受賞し、一躍注目を集めたエリザ・ヒットマンの長編3作目。「ムーンライト」のバリー・ジェンキンスが製作総指揮に名を連ねる。

妊娠した少女が中絶手術のために従姉妹とニューヨークへ行くドキュメンタリー・タッチのロード・ムービー。最近、アメリカ映画もこの手のインディーズっぽい映画が出てくる。以前からあったのかもしれないが賞とか取らないとなかなか公開されないのかもしれない。

中国の高校生がイジメや受験戦争で苦しんでいる一方でアメリカでは十代の妊娠問題か?と思う映画。自分の十代はさすがになかったが、けっこう妊娠中絶問題は日本にもあると思う。留学して妊娠して帰ってくるとか、友達に連絡つかないんで至急連絡するようにと言伝を受けたりしたことはあった。

日本も70年代の文学からは妊娠問題はある(戦時は産めよ増やせよの時代だったが)。TVドラマも多いし。でもそれを真面目に取り上げた映画は日本では少ないように思う。金八先生ぐらいしか思い浮かばない。この映画は、妊娠して母にも無論父親は番外な存在で、従姉妹が中絶手術の出来るニューヨークまで付き添う映画。

これも二人の関係性が付かず離れずの関係で、親友というのでもないけど女友達ならわかるというような刹那いドラマになっている。アメリカは州によって妊娠中絶が出来ないところもあるし、キリスト教関係で反中絶を訴える団体もある。そうした中で一人で決めなければならない。

男が出てこない。最初の文化祭のシーンで罵声を浴びせた男だろうか。妊娠中絶をするためにいろいろ質問を受けるのだが、どうも望まないセックスだったようで、それも痛々しい。そうした十代の女の子が多いのもアメリカなんだろう。等身大の歌がキーポイントのリアリティある映画で、痛みを伴う問題提起型の映画。



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