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五姉妹と放蕩息子の反抗期、自由を求め孤立する父

『あなたと過ごした日に』(2020/コロンビア)監督フェルナンド・トルエバ 出演ハビエル・カマラ/ニコラス・レジェス・カノ/フアン・パブロ・ウレゴ/パトリシア・タマヨ

解説/あらすじ
父と同じ名を持つエクトルは、5 姉妹に囲まれた唯一の男子として深い愛情を注がれて育つ。公衆衛生が専門の大学教授である父、エクトル・アバド・ゴメス博士の家庭は寛容と愛の心を育む教育により、活気と創造性に満ち溢れていた。そんな中、姉妹の一人が恐ろしい病魔に冒される。それをきっかけに、悲しみと怒りに突き動かされたアバド・ゴメス博士は、政治活動にのめり込んでいき、エクトルら家族の日常も次第に変化していく。分断されたメデジンの社会では、テロが多発し、自由を信奉する博士の声を封じようと準軍事組織の動きが加速していくが、家族の心配をよそにメデジン市長選への出馬を決意する――。

coco映画レビュアー

コロンビアの公共衛生に力を尽くした医師と家族の映画。全体的には息子から見た父親の姿を描く家族映画なのだけど、コロンビアの内政情勢の中で大学での政治運動が激化して医師も次第に政治化して大学から追放されてしまう。そういう背景がありながら、ほとんどは五姉妹と末っ子の長男が父親から自由奔放に育てられていく過程を描いている。

娘が病気で亡くなったことから政治運動にのめり込んでいく父に母親を含め家族との対立は、幸せを満喫しているが、家族内の幸福だけを願う母と父の対立。コロンビアの国政が自由を阻害しているのに家庭内は平和だから外の世界に見ようとしない家族と学生を含め外の世界と接している父との対立なのだ。

ラストに悲劇が起きるのだが、それまでが幸福な家族映画だただけに衝撃的なラストになっている。ラテン的な悲劇映画というか悲しみを押さえるということがないのでラストが強烈になっている。余韻とか全然ない感じのストレートな感情表現の映画でちょっと戸惑うかもしれない。全体的には家族映画なんだが父親が自由主義者であるという所にスポットを当てた、それを息子が後になって理解するという映画なのか?映画の見どころは4姉妹と一人だけ男の子という家族の中での父との関係。日本にはなかなかない父親が教師的な関係なのかな。教師と言っても日本的ではなく自由な教育法の。ルソーとかの影響があるのかもしれない。


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