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本当にゴダールとの決別になってしまった

『ゴダールの決別』(1993年/フランス・スイス)監督ジャン=リュック・ゴダール 出演ジェラール・ドパルデュー/ローランス・マスリア/ベルナール・ベルレー/ジャン=ルイ・ロカ/フランソワ・ジェルモン


本作は、ギリシア神話の神ゼウスと人妻とが浮気をするエピソードをベース[1]に、神と肉体をテーマした作品である。ジェラール・ドパルデューを初めて起用した商業作品として知られる。

ハイビジョンカメラでの撮影だろうか?映像がとても素晴らしい。それだけの映画と言えばそうなのだが、ゴダールのメタフィクション性。撮影現場のシーンがあたかも映画の講義でもあるかのように、現実生活とは一線を画す。

その手法が異化作用なのだが、実際の夫婦間の会話があまりにも神学すぎて普通には理解できない。ギリシア神話のパロディなのかと思えばなるほどドパルデューのシモンは笑える。

ただストーリーは映像との異化作用を引き起こすものとして、あまりここでは重きを置かなない。それがゴダールの商業映画との決別であり、自分の撮りたい映像美をどこまでも追求していく。予告編だけでもドラマが感じられるが、例え映画の展開は間延びした退屈した時間となるだろうが、それも映画である。居眠りしながらふと目覚めたら映画の世界に彷徨っていたというような。

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