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川上哲也には妹がいた

『REVOLUTION+1』(2022/日本)【監督】足立正生 【キャスト】タモト清嵐,岩崎聡子,高橋雄祐,紫木風太,前迫莉亜,森山みつき,イザベル矢野,木村知貴

解説/あらすじ
川上哲也は、一人、ずっと暗闇の中で生きてきた。記憶のある明るい時間は、父が生きていた時代。普通よりは裕福な家庭で育ち、父が経営する会社も順調、優しい母、頼もしい兄と可愛い妹に囲まれて何不自由のない生活を送っていた。しかし、仕 事と人間関係に疲れ果てた父の自殺からすべてが一変する。兄は癌の治療、転移よる後遺症で片目を失明し自暴自棄となり、妹は急に貧しくなった生活に戸惑い反抗的になる。哲也は、目指していた大学進学の道を断念する。母は、すがる思いで統一教会に入信。そして、父が残した生命保険も教団に献金を繰り返し、遂には自己破産をしてしまう。そんな時、母を奪い返すために教団の施設に向かった兄は、屈強な教団職員に囚われの身となる。最も親しみを感じ、頼りにしていた兄も、絶望の果てに自死する。それ以来、希望も失い暗闇のなかを彷徨っていた。自分を、家族をここまで追い込み、すべてを失わせた元凶である教団への復讐を誓う。かつて自衛隊にいたときの経験を思い出し、改造拳銃を自分の部屋に閉じこもり作り続ける、確かな目的もなく。孤独の中で哲也は「僕は星になれるのか」と瞑目する。ある日、元首相が、自分が育った場所に選挙応援でやってくることが知らされる。早朝、身を整理した哲也は、静かに部屋を出る。

coco映画レビュアー

 東京より先に限定公開されるというので初日に観に行った(クリスマス・イブなのに)。事件にそれほど興味があったというわけではないが足立正生監督がどうこの逆行した社会でこの事件を映画にするのかに興味があった。ただそこまで過激という感じがしなかったのは、この映画は家族というものを描いていると思ったからだ。

 だから主人公の川上哲也の気持ちもわからないではない。父と兄が自殺して、母は統一教会に献金しまくる。自分たちの生活を犠牲にしてまで宗教にのめり込む母は異常なのだろうか?子供たちを巻き込んでしまったと言えるかもしれないが、川上哲也はそんな母から離れて自立していたはずである。それでも不満が復讐に向かうのは、彼があまりにも孤立していたからではないか?事件を起こした後に妹が出てくるのだが、彼女が兄の行為を正当的に受け止めるのは良かったと思う。彼女が間違った思想の持ち主とかではなく、家族なら当然なのかと。妹の存在がこの映画ではポイントだった。

 宗教二世の問題もあったが革命家二世の問題も浮き彫りにしていたのは公平的で良かった。あの人の娘なのかな?革命家の娘も辛いものがあるのだ。親に恵まれる人はそんなにいないと思うが安倍首相もそういう家族の中で育ってきた宿命みたいなものを感じる。ただその親に反発出来なかった。それが統一教会に党自体か日本全体が乗っ取られる形になったのだ。それを今の政府がどうにも出来ないのなら、こういう事件は起きてくるだろう。それを冷静に捉えた映画だと思う。

 けっして川上哲也を評価した映画ではないのだ。

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