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サンリオ文庫はお高くなっていまっせ

D・W・ヤング監督『ブックセラーズ』2019年製作/99分/G/アメリカ

世界最大規模のニューヨークブックフェアの裏側からブックセラーたちの世界を捉えたドキュメンタリー。業界で名を知られるブックディーラー、書店主、コレクターや伝説の人物まで、本を探し、本を売り、本を愛する個性豊かな人々が登場。さらに、ビル・ゲイツが史上最高額で競り落としたレオナルド・ダ・ビンチのレスター手稿、「不思議の国のアリス」のオリジナル原稿、「若草物語」のルイザ・メイ・オルコットが偽名で執筆したパルプ小説といった希少本も多数紹介する。ニューヨーク派の作家フラン・レボウィッツが辛辣ながらユーモアあふれる語り口でガイド役を務め、「カフェ・ソサエティ」などの女優パーカー・ポージーが製作総指揮とナレーションを担当。

NYのブックフェアに出店しているブックセラーたちのドキュメンタリー。一般に書店で売っている本ではなくて希少本を扱っている古本屋(グーテンベルクの活版印刷の聖書とか)。あまり書籍に対して愛情がなくなったのは年取っていつでも本が買えるからなんだろうな。部屋掃除してあまりにも積読の雑な扱いは罪作りなんだろうな、と反省しました。学生の頃、神田神保町の古本街で外国文学を探している頃を思い出しました。今では『失われた時を求めて』は多数の出版社から出ていますが、私が二十歳ぐらいの時は、『失われた時を求めて』は凄い小説という噂は聞くが実際には書店には置いて無かった。古本屋で見つけても高価な値段で買えなかったのを思い出しました。それが今では文庫で全集が手軽に買え電子書籍でも読めるようになりました。

それから欲しいと思う本はネットですぐ買うようになりましたが、積読が多すぎて読みきれないでいます。本に恋していた頃は、そんなことはなかったの。今はネットで注文して箱のまま開けないで忘れてしまうこともあるぐらいに飽食気味でした。あの頃は大型書店に行かなければ岩波文庫なんて買えなかったんだよな。外国文学なんてほんと古本屋で手に入れていたあの頃だったのです。全集の分冊が千円以下でフォークナーとか有名作家の小説を読んだものでした。サンリオ文庫が出て時の興奮とか。あのブックカバーが素晴らしくて、ちゃんと保存していたら高値で売れただろうな。ブックセラーズはそういう本のコレクターです。それは本に対する愛情だったのです。

ちょうど「100分de名著ブラッドベリ『華氏451度』」の焚書についても出てきました。文化を破壊すること。そうなったらほんと悲しいですよね。あと電子書籍化の問題も書籍でしか出ない本とか、ヒップホップ関係の本なんてそうだったのですから今では貴重な本も沢山ある。考えてみればジャズ関係の本とかもそうですよね。書籍でしか買えないですぐ絶版になってしまいます。電子書籍の功罪って、そういうAmazonがどうにでも出来るのですよね。ここではKindleに力を入れてますが。100年後のハードディクスで保存したものが読めるという保証はないのです。書籍は読めます。そして図書館に古文書なども保管されています。

面白かったのは年寄りのブックセラーは悲観的で自分の代で終わりだろう(跡継ぎがいる人もいるが、本がバラバラにならないように願っているろか)自分が死んだ後に本が拡散されることを恐れていました。最近でも有名な方の蔵書を図書館に寄付したが、司書がその重要性に気が付かずに捨ててしまったということもありました。今はそういうことも多いみたいです。本の価値がわかるブックセラーが少なくなったのでしょうか?若いブックセラーの人は書籍の本はこれからも無くならずに、いろいろアイデアがあり、こういう仕事に参入してきて希望を語っています。収集も多様性の時代になっているのです。SFとかフェミニズム関連の本とか先程のヒップホップなどの文化的な本は貴重な価値を見出す人が増えています。そういう本は残りますね。

それと最後に貸した本は二度と戻ってこないというのは名言だと思いました。あるブックセラーのオーナーがデヴィッド・ボウイに本を貸したまま戻って来ないのをラストで不満をぶつけていました。自分も個人的に不満をぶちまけたくなりました。

「あゆみ、お前が持っていったサンリオの『暗闇のスキャナー』は表紙が気に入っていたのだからはよ返せよ!」



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