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「♪~上から読んでも下から読んでも、世の中、馬鹿なのよ」

『由宇子の天秤』(日本/2020)監督春本雄二郎 出演瀧内公美/ 河合優実/梅田誠弘/松浦祐也/和田光沙/池田良

解説/あらすじ
3年前に起きた⼥⼦⾼⽣いじめ⾃殺事件の真相を追うドキュメンタリーディレクターの由宇⼦は、いま世に問うべき問題に光を当てることに信念を持ち、保守的な製作サイドと衝突することも厭わない。⼀⽅で、⽗の政志が経営する学習塾を⼿伝い、慎ましくも幸せに⼆⼈三脚で⽣きてきた。ところが、ある⽇、思いもかけない政志の⾏動によって、由宇⼦は信念を揺るがす究極の選択を迫られる…。

「救い」がない映画。最後死なないだけ良かったのか。テーマが3つぐらいあるような、TV制作会社によるドキュメンタリーの捏造(編集も含めて)があり、由宇子の家庭問題があり、世間体ということがある(三段論法ではないですがここが結論かな?)。組織や仲間や家族に属しているからその中での個人主義の難しさ。それが絡み合っているから正直しんどい映画です。

詰らないことはないんだけど、解決されないもやもや感。ハリウッド映画に慣れすぎたのか嘘でもいいから希望を見せてくれないと正直辛い。お腹も痛くなってしまったし(これは冷房のせい)。父親の問題は本来娘には関係ないのだからと思うのだが(そうさせない社会がある。ネットの普及によって悪者探しが横行する)、それが会社に迷惑をかけ、取材者に迷惑をかければ表沙汰にしないようにしてしまうのか?身内問題です。

能力がありすぎるから、ということもあるのかもしれない。普通はそんなことは出来ないで投げてしまう。腹くくって仕事を辞めればいいんだみたいな。無責任だけど。責任感の取り方が異常なのかな。父親が相手の父親に話に行くのを止めるべきではなかった。それで社会的に責任を負わされるのなら逃げてしまえばいい。でも逃げられないネット監視社会なのか?

姉さんが自殺した先生の遺書を捏造したというのも、世間が家族をも攻撃するからなんだ。姉さんの家族は関係ないけど子供が小学校でイジメられる。いつからそんな社会になってしまったのだろう。そういう現実を突きつける映画でよく出来ていると思います。

そう考えるとたぶん日本特有なことなのかもしれない。少なくとも個人主義の発達しているヨーロッパにはなさそう。東欧とかはあるかもしれないけど。アジアはあるな。いや、ネットが発達した今は世界各地で似たような問題が起きているのかもしれない。だから各国で評価を受けたのだろう。

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