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描かれた自然の精密さに驚く(普段はあまり見ていなかった)

『自然という書物』(町田市立国際版画美術館)

町田市立国際版画美術館

歩いて行ける美術館でそれほど混雑しないので観に行った。出版物中心のリトグラフ。自然を観察して描写する。NHKドラマ『らんまん』で牧野富太郎(万太郎)が植物を正確にデッサンするような出版物も移り変わり(牧野富太郎の植物画はなかったけど)。昔の人間の観察眼の鋭さを見ることが出来る。顕微鏡が出てからはさらにその描写が繊細になるが、もう一つ神の世界とか妖精たちの世界のような空想画も自然画の描写と共に発展して行くのだ。

それは動物による擬人化の絵などがあり、近代以降は、精密画の中にファンタジー要素が組み込まれてリアリティを生み出していく。例えばそれはシェークスピアの作品から妖精たちの精密画や詩人のブレイクの詩集に描かれる絵など。また近代になって抽象的な植物や動物画がデザインとして模様になっていったり興味深かった。

それでもハッとするのはシーボルトの藤の絵だったり(万太郎は観たのかなとか)、『失われた時を求めて』で出てくるラスキンの絵画技法などの(ベネチアの建造物のデッサン)の絵に出会えたこととシェークスピアやブレイクの詩の本の感じとか、昔の出版物は贅沢品だったのだという驚きがあった。

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