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ハードバップの模範盤

『ハーフ・ノートのドナルド・バード』(1960年11月11日)Donald Byrd - trumpetPepper Adams - baritone saxophone except track 6/ Duke Pearson - pianoLaymon Jackson - bassLex Humphries - drums

たまにはジャズの記事を。最近はもっぱら大友良英「ジャズ・トゥナイト」ぐらいしか聴かないのだが、聞き逃しで風呂ラジオとして聞いていてこのアルバムは面白いと思ったので。

まずドナルド・バードはまったく聴かないというか、「ファンキー?あのださジャズか?」とイメージがあって、まあトランペットだったらリー・モーガンあたりで、あとはフリー系のドン・チェリーとかレスター・ボウイが好みだった。「エレトリック・マイルス」も駄目なのである。

このアルバムはそんなにファンキーというよりハードバップ時期であーと・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズの延長路線のように感じる。「ハーフノート」というとジャズ・クラブの名盤として数々の熱演ライブがあるが、このドナルド・バードは聴いたことがなかった。

最初のアナウンスが『バードランドの夜』のアナウンスのような高い声でそのときのトランペットが大好きなクリフォード・ブラウンで似ていると思うった。編成的にもクインテットでルー・ドナルドソンのアルト・サックスがバリトンのペッパー・アダムスに変わったような編成でオーソドックスなはーどバップ聴きやすい。

一曲目がデューク・ピアソンのマイナー曲。デューク・ピアソンはけっこうハードバップ以降のファンキー・ジャズと呼ばれるジャズの中でマイナー調の曲を作曲するピアニスト。グラント・グリーン『アイドル・モーメンツ』のイメージからジョン・ルイスの影響からファンキー・ジャズのマイナー調を目指したのかなと思う。ブルーノートでは編曲に才能を発揮して後にA&Rのプロデューサーとして若手を発掘したようである。ウィキペディアをみると彼の後釜がハービー・ハンコックのような感じだから、自身はハードバップ路線の最後の世代という感じなのか。

この曲は、『バード・イン・フライト」でもやっているのでお気に入りなのだろう。こちらはスタジオ録音でクインテットではなく3管編成でアルトにジャッキー・マクリーン、テナーにハンク・モブレーだからより完成されたスタイルになっているのかもしれない。ただ熱気はライブ盤の方がある。

結局、最初の一曲がすべてだったな。大友良英「ジャズ・トゥナイト」ではNHKに眠っていたモノラル録音盤をかけていた。この録音はなかなか素晴らしかった。



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