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パントマイムの神様の映画

『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』(アメリカ・イギリス・ドイツ/ 2020)監督ジョナタン・ヤクボウィッツ 出演ジェシー・アイゼンバーグ/クレマンス・ポエジー/マティアス・シュヴァイクホファー/フェリックス・モアティ

解説/あらすじ
1938年フランス。アーティストとして生きることを夢見るマルセルは、櫃間は精肉店で働き、夜はキャバレーでパントマイムを披露していた。第二次世界大戦が激化するなか、彼は兄のアランと従兄弟のジョルジュ、想いを寄せるエマと共に、ナチに親を殺されたユダヤ人の子供たち123人の世話をする。悲しみと緊張に包まれた子供たちにパントマイムで笑顔を取り戻し、彼らと固い絆を結ぶマルセル。だが、ナチの勢力は日に日に増大し、1942年、遂にドイツ軍がフランス全土を占領する。マルセルは、険しく危険なアルプスの山を越えて、子供たちを安全なスイスへと逃がそうと決意するのだが――。

フランス占領下のナチス政権の中でユダヤ人の子供たちをスイスへ逃亡させた「パントマイムの神様」マルセル・マルソーの自伝的映画。映画的には子供たちの悲劇で泣けるのだが、もうそういう映画にはうんざり気味なのもある。

パントマイムという笑いの要素を加味したところでは評価できるが、ラストのロンメル将軍の前で英雄としてパントマイムをするのはなんか違うと思ってしまった(ドイツが降伏した後だったのかな)。レジスタンスだぜ。いくらなんでもロンメルが称賛するか?それなら『天井桟敷の人々』の撮影秘話とか出してほしかった。

でもマルセルじゃなかったのか?『天井桟敷の人々』の「バチスト」がマルセルがやった役だったということだ。そのバチストを演じたのはジャン=ルイ・バローだった。

『天井棧敷の人々 4K修復版』(フランス/1945)監督マルセル・カルネ 出演アルレッティ/ ジャン・ルイ・バロー

解説/あらすじ
【第一部・犯罪大通り】1840年代、劇場が立ち並ぶパリの≪犯罪大通り≫。パントマイム師のバチストは、女芸人ガランスを偶然助けたことから、彼女に恋心を抱く。若き俳優ルメートルや、犯罪詩人ラスネールも彼女に惹かれていたが、ガランスは誰のものにもならない。そこに、ガランスに魅せられたもう一人の男・富豪のモントレー伯爵が現れ…。 【第二部・白い男】数年後―。座長の娘ナタリーとの間に一児をもうけたバチストは、フュナンビュル座の看板俳優として舞台に立つ日々を送っていた。そんなバチストを毎夜お忍びで観に来る一人の女性が。それは、伯爵と一緒になったガランスだった。ガランスが訪れていることを聞いたバチストは、たまらず舞台を抜け出すが…。

やっぱこれは名作だった。北野武がベスト1にあげ、美輪明宏も推薦する、ナチス支配下のフランスで制作され当時にフランスの映画人たちが総力を結集させた映画。パントマイム役者のジャン=ルイ・バローの演技が素晴らしく、パリのオペラ劇場の観客やラストのパリ祭の群衆の中をかき分けていく主人公のシーンは群衆映画のお手本。

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