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原田美枝子の「百花」と半分の花火

『百花』(2022/日本)監督川村元気 出演菅田将暉原田美枝子長澤まさみ

解説
菅田将暉と原田美枝子が親子役で主演を務めたヒューマンドラマ。プロデューサー、脚本家、小説家として数々の作品を手がけてきた川村元気が2019年に発表した同名小説を、自ら長編初メガホンをとって映画化した。

レコード会社に勤める青年・葛西泉と、ピアノ教室を営む母・百合子。過去に百合子が起こしたある事件により、親子の間には埋まらない溝があった。ある日、百合子が認知症を発症する。記憶が失われていくスピードは徐々に加速し、泉の妻・香織の名前さえも分からなくなってしまう。それでも泉は、これまでの親子の時間を取り戻すかのように献身的に母を支え続ける。そんなある日、泉は百合子の部屋で1冊のノートを発見する。そこには、泉が決して忘れることのできない事件の真相がつづられていた。

認知症を患った母と母に捨てられた記憶がどうしても忘れられない息子の物語。母親役が原田美枝子で息子が菅田将暉なので、役者の好演もあってなかなか魅せるドラマになっている。ホームに入った母の願いで半分の花火を見に行くのだが、母親が迷子になってしまう。母親は息子が迷子になったのだ言い張る。そういう自分中心しか見てない親子のドラマとして考えさせれた。

半分の花火という舞台設定が見事だった。海で打ち上げる半分しか見せない花火があるのだ。人の記憶はその半分だけかもしれない。見えているところがお互いに違うのだった。
そしてラストで半分の花火を思い出す息子の演出が良かった。

原田美枝子はギャル時代(演技)を知っていると随分味わい深いものがあるのだ。女優として、経験を積み重ねてきている(デビューが増村保造で黒沢監督の『乱』にも出ている)。また原田美枝子も認知症の親の映画を撮っていた。


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