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ジャン・リュック・ゴダールを観る


『気狂いピエロ』を最初に見た時の衝撃は、オープニングのタイトル文字のカラフルさ。それは最近では『新世紀エヴァンゲリオン』でも模倣されるようにタイトルバックまでの斬新さでスクリーンに釘付けにされてしまうのだ。

映像のスピード感はモノローグ的な文学的言葉を凌駕していく。そこにズレが生じて異化作用を引き起こす。ランボーの有名な「永遠」の詩もゴダールの映像によって再認識させられるのだ。これ以上の詩的映像もなかろう。

オープニングの赤のAから始まるオープニング。これは凄い映画だと感じる。そこにフランスの色を強烈に主張。例えば『勝手にしやがれ』がアメリカ映画との蜜月時代とするならば、『気狂いピエロ』はハリウッド的なアメリカ映画との決別を、そのフランス三色旗の主張で明確にする。

ジャン・ポール・ベルモンドとアンナー・カリーナのアメリカ兵を楽しませる余興としての寸劇は、即興だそうだが見事にヴェトナム戦争への風刺劇になったいる。もっともゴダールの毛沢東主義もいささか行き過ぎた感じもあるが。

そして場違いに登場するダンスシーンも異化作用なのだ。それが凄くて異化作用と感じないぐらいに映画ではダンスシーンが一つの見せ場となっていく。


その辺り理屈っぽいヌーヴェルヴァーグとしての一本では『気狂いピエロ』なのだが、女性客が多いのは『勝手にしやがれ』だろう。出会いの映画でもあるしジーンセバーグのセシルカットが印象的。

『はなればなれに』


映画を見終わったあとに語りたくなるという映画ではこれが一番か。アンナ・カリーナの可愛さと言ったら、ちょっとアホな娘役だけど(時代性です)、60年代のカレッジ風なファッションがいい。髪型も左右ボンボンからいろいろ変化して面白かった。一分間の沈黙、ダンスシーンの楽しさ、ルーブル・ダッシュ!とにかくアンナ・カリーナが魅力的でゴダールと一つの時代を作った絶頂期の映画なのだ。まず、お決まりのダンスシーン。

そして、なによりもこの映画を有名にしたルーブル・ダッシュのゲリラ撮影。

後にベルナルド・ベルトルッチ『ドリーマーズ』で記録更新されるのだが。

とにかくこの頃のアンナ・カリーナを素晴らしく魅力的に撮っていたのがゴダールなのだ。

全部がゴダールではないが、こんなアンナ・カリーナの動画を発見!

ゴダールのショットの美しさについては、この動画で。

そして最も重要なゴダールの仕事として『ゴダールの映画史』がある。最近話題になった「ファスト映画」のようだけどゴダールがやると『ゴダールの映画史』になっているので素晴らしい。追悼特集でまたNHKかWOWOWでやらないだろうか?これは一見の価値があり。ゴダールが選別した映画をゴダールのこだわりの名シーン編集でこれは何度でも観たくなる。本でも出ていたが、こっちは解説でやっぱ映画でみるのがいいだろう。



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