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数値で問わなければならないアメリカの現状を見る映画

『ワース 命の値段』(2019年/アメリカ)監督:サラ・コランジェロ 出演:マイケル・キートン、スタンリー・トゥッチ、エイミー・ライアン、テイト・ドノバン

解説/あらすじ
2001 年 9 月 11 日のアメリカ同時多発テロ発生後まもなく、政府が被害者と遺族を救済するための補償基金プログラムを立ち上げる。特別管理人を任されたのは、弁護士ケン・ファインバーグ。調停のプロを自認するファインバーグは、独自の計算式に則って個々人の補償金額を算出する方針を打ち出すが、さまざまな事情を抱える被害者遺族の喪失感や悲しみに接するうちに、いくつもの矛盾にぶち当たる。約 7000 人の対象者のうち 80%の賛同を得ることを目標とするチームの作業は停滞する一方、プログラム反対派の活動は勢いづいていく。期限が刻一刻と迫るなか、苦境に立たされたファインバーグが下した大きな決断とは……。

coco映画レビュアー

9.11テロ事件における被害者の賠償問題について、政府は経済を停滞させないために一定の金額内で遺族への補償問題を弁護士に依頼する。その弁護士が中心となって補償基金プログラムの管理人チームが個々の被害者家族と交渉していく。

しかし、補償に納得しない家族らが続出していく。そんな中でチームのメンバーは遺族の感情を聞いていたが、リーダーは数字だけの問題として捉えており、そこに齟齬が出来ていく。

とある消防士の遺族の兄(同じ消防士の弟が死亡)がその妻と子供に補償金を出して欲しいと直接交渉に来てリーダーが面接をする。そして、その妻の話を聞いて感情が揺さぶられていくのである。リーダーの遺族の話を聞くという姿勢が遺族らも納得していくようになる。遺族の補償問題は数値ではなく(当たり前だけど経済優先はどこまでも数値が問われる)、そこに一人一人の生きた人間がいたということを知るドラマ。

映画としては遺族と故人との壮絶な別れ(電話や手紙)の話で感情を揺さぶられるのだが、結局最後は数値の問題に戻っていくのだった。そこがなんかな、という感じだった。

結局、遺族は被害者補償がなければ生活できないから足元を見られるということがある。まあ、このへんは3.11の補償問題と同じだろうと思う。それを納得したように映画が作られるのがアメリカなんだと感じた。例えば日本で3.11の補償問題で調停委員会は立派でしたという被害者遺族がいるとは思えない。

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