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沖縄戦サユリストなく百合の花

『あゝひめゆりの塔 HDリマスター版』(1968/日活)監督舛田利雄 出演吉永小百合、浜田光夫、和泉雅子、二谷英明、渡哲也

昭和十八年、太平洋戦争の戦局は、米軍の反攻によって日本には不利に展開していた。沖縄ではまだ、戦争感は薄かった。沖縄師範女子部の和子は級友のトミらと運動会を楽しんでいた。和子が師範男子部の順一郎と知りあったのはその頃だった。昭和十九年になると戦局は悪化、米軍の物量作戦の前に沖縄も戦場になろうとしていた。和子ら学生は、一日の半分を陣地構築に従事する毎日がつづいた。やがてサイパン島が玉砕。学童は内地に疎開が決ったが和子の母は、その船に乗ったものの、潜水艦に撃沈されてしまった。和子は弟の武と二人きりになってしまった。

吉永小百合が演じていると沖縄というより本土のいいとこの女学生に見えてしまう。前半はそんな感じで、明るい青春日活映画なのだが、後半になってどんどん不条理さを醸し出す。

オープニングのシーンが渡哲也が出てきて新宿かどこかのゴーゴー喫茶の若者のシーン。すでに戦後から20年過ぎてしまったという、そのオープニングがいかにも日活という感じだった。

学童疎開で対馬丸で付き添っていた与那嶺和子(吉永小百合)の母(乙羽信子)が死亡したシーンで、ピアノを弾くのだがお嬢さんだよな。でもラストで沖縄民謡を舞っていたのはジーンとくるものがあった。吉永小百合の映画なんだが。

そんな中で和泉雅子の存在感が光った。洞窟に残されて自決するのだが、青酸カリ入りの牛乳?を飲むシーンは良かった。

それと男性教師が機銃掃射で亡くなるのだが眼鏡を残すシーンがエヴァを連想した。そういうアイテムの使い方が上手い。

女学生らが水浴びのシーンで機銃掃射をされるシーンがなかなかの見せ場で、もしかして吉永小百合ノーブラかもと目が釘付けになる。その後に機銃掃射で女子学生の死体が浮かぶのだ。そういう演出が上手い。そして白百合が流れてくる。

最後まで吉永小百合はしぶとく生きているのだが、最後に自爆する姿が哀しい。

あと卒業式をやることになって、うたう歌(後からひめゆり学徒たちに捧げられた歌だった)が主題歌( 「相思樹の歌」)となっている。ラストもこれだったのか?



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