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映画にも渇水する

渇水(2023年/ 日本)監督高橋正弥 出演生田斗真門脇麦磯村勇斗山崎七海柚穂宮藤官九郎宮世琉弥吉澤健池田成志篠原篤

あらすじ
⽇照り続きの夏、市の⽔道局に勤める岩切俊作(⽣⽥⽃真)は、来る⽇も来る⽇も⽔道料⾦が滞納する家庭を訪ね、⽔道を停めて回っていた。県内全域で給⽔制限が発令される中、岩切は⼆⼈きりで家に取り残された幼い姉妹と出会う。蒸発した⽗、帰らなくなった⺟親。困窮家庭にとって最後のライフラインである“⽔”を停めるのか否か。葛藤を抱えながらも岩切は規則に従い停⽔を執り⾏うが――。

昨日は大雨で観た時期が悪かったのか、同時公開が是枝裕和『怪物』だったこともあり、映画館の入りも少なかったような。

子供を巡る社会問題を扱った映画なのに違いはなんだろうか?脚本なのか前半は退屈してしまった。そもそも最初から主人公の怒りなんか分かっているのにそこから始めなければならないかったるさ。それは誰にも言えることなのかもしれないが、なんでそんなところに就職したのか?ということなんだが。なりゆきでそうなって入ったらそういう会社だったという単なる無知に過ぎないのか?

ただ後輩もその道を歩んでいくのは子供が出来たからということだった。そこに何かもやもやしたものがある。子供の為と言いながら子供の為にならない社会を作ってしまう。その疑問の映画なんだろうけど。

後半の滝のシーン(自然)と子供と公園で水遊びするシーンは良かった。子供の無邪気さが伝わってきた。そういう映画なんだだと思う。無邪気に振る舞えない社会という。

それは是枝裕和『怪物』にも感じたのだが自然の美しさを描いていたが、どこまでそれを映画に取り込めるか?前半の説明的な映像は退屈で役者もいまいちだったかな。それは安藤さくらや田中裕子がいないということもあったが子供の演技にも差があった。そういうのが見えてしまうのは辛いことだ。是枝監督が上手いのは子供の撮り方も上手かった。

芥川賞作品なので、原作はそれなりの本なんだと思う。そのことで期待して観に行ったのだが。正直これが芥川賞なのかと思った。「渇水」という比喩は分かりやすいほど分かりやすいのだが、エンディングかな、甘い感じである。もっと現実を突きつけてもいいかなと。結局主人公がテロ的な行為をやってガス抜きなのかと思ってしまった。会社辞めたあとも話は続くはずである。その展望が見えなさすぎた。

あと作品が1990年の話ですでに30年も前の話でそこからまったく話が進んでいないのかと思うとげんなりする。むしろ悪くなっているような。そういう現実を描いてほしかった。

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