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夕顔だけじゃない手紙魔の光源氏

『源氏物語 04 夕顔 』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版)

平安時代中期に紫式部によって創作された最古の長編小説を、与謝野晶子が生き生きと大胆に現代語に訳した決定版。全54帖の第4帖「夕顔」。五条辺りに風変わりな家があった。夕顔の咲くその家をのぞき込んでいると歌の書かれた扇をもらう。その女は以前頭中将が「忘れられない」と話していた女であった。源氏は自分の名も名乗らずに女のもとに通う。ある日、人目を憚らずに過ごしたいと某院に夕顔を連れ出すが、枕元に美しい女性が現れ、恨めしいと夕顔を起こそうとする。見ると夕顔は息絶えていた。源氏は悔やみ、床に臥してしまう。

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最初に読書メーターに書いたのが「夕顔」の感想文だったので重なる所があります。

今年は『源氏物語』に挑戦という目標を立てました(現代語訳だけど)。テキストで読んでいるのは角田光代訳ですが電子書籍もあるので電車の中で与謝野晶子は読んでいたりします。『夕顔』は怨霊も出てきて面白いと思ったらヒロインがあっというまに死んでしまって。怨霊物語として期待が持てます(ホラーかいな?)光源氏はあまりにも現実とかけ離れているのでそれほど惹かれない。やはり魅力あるのは多様性に富む女性たちでしょうか?あと源氏物語に出てくる和歌ですかね。紫式部は和歌はそれほど上手くないと言われますがそれは名人と比べた場合であってやはりいい歌も多い。

読書メーター2023/01/31

「夕顔」のタイトルになった和歌。

(夕顔)
心あてにそれかと見る白露の光そへたる夕顔の花
(返し、光源氏)
寄りてこそそれかと見めたそかれにほのぼの見つる花の夕顔

『源氏物語 04 夕顔 』(翻訳)与謝野晶子

中将の君(怨霊となる六条御息所?の代理だった)を朝顔に例えて贈る光源氏との相聞歌。

(光源氏)
咲く花にうつるてふ名はつつめども折らで過ぎうきけさの朝顔
(中将の君の返し)
朝霧のはれまも待たぬけしきにて花に心をとめぬとぞ見る

『源氏物語 04 夕顔 』(翻訳)与謝野晶子

その後の夕顔との逢引。

(光源氏)
夕露に紐とく花は玉鉾にたよりに見えしえにこそありけれ
(夕顔の返し)
光ありと見し夕顔のうは露はたそがれどきのそら目なりけり

『源氏物語 04 夕顔 』(翻訳)与謝野晶子

夕顔が亡くなったばかりなのに、途中で「空蝉」との相聞歌が交じるとは、どういう神経をしているのだ、この男は。寂しさを紛らわすために女を利用しているしか思えん!

(光源氏)
空蝉の世はうきものと知りにしをまた言の葉にかかる命よ
(空蝉の返し)
ほのかにも軒端(のきば)の荻をむすばずは桐のかことをなにかけまし
(すかさず返信する光源氏)
ほのめかす風につけても下荻のなかばは霜にむすぼほれつつ

その後の四十九日の法要でしらじらしい光源氏の和歌。

(光源氏)
泣く泣くも今日(けふ)はわが結ぶ下紐をいづれの世にかとけて見るべき
逢うまでの形見ばかりと見しほどにひたすら袖の朽ちにけるかな
(女官の返し)
蝉の羽(は)もたちけへてける夏衣かへすを見てもねは泣かれけり

『源氏物語 04 夕顔 』(翻訳)与謝野晶子

空蝉のことがバレているのか?二股交際の成れの果て。

過ぎにしもけふ別るるも二道にゆくかた知らぬ秋の暮れかな

『源氏物語 04 夕顔 』(翻訳)与謝野晶子


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