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モンクとバドのように酔っ払っていた日

Thelonious Monk 『Underground』 ( Columbia/1968)

Thelonious Monk – piano
Charlie Rouse – tenor saxophone
Larry Gales – bass
Ben Riley – drums
Jon Hendricks – vocals on "In Walked Bud"

音楽が場所の記憶と共に思い出されるというのは、ジャズの場合多いのは、最初にジャズの案内役だったHのお陰で、よく二人でジャズ喫茶巡りをしてました。大抵は彼が行ったことのある名店に連れて行って貰うのですが、後半は新規にあれこれ探して見つけたのが新宿「リフレイン」というお洒落なジャズ喫茶です。

新宿は思い出深いジャズ喫茶が多かったのですが、一番が今はないDIGに行けたことかな。木馬もよく行ったけどあとサムライはほとんど穴場的デートスポットという感じで。

リフレインは、新規に開拓していた頃でジャズ喫茶でコーヒーを飲むより、アルコールを楽しむようになってからの場所ですね。そのころHが交通事故に合いまして慰謝料が入ってきたのをいいことに毎週飲み歩いていました。彼はほとんどアル中という感じだったのは、足が不自由になったからなのか。それでも歩けたのだから、そんなに悲観することもないと思ったのですが、心の傷が深かったようで、その頃彼女と別れたこともあったのか、あれこれ思い出すと原因は山のようにあるのですが、自分はほとんど彼の言われるままに連れていかれた。

そんな店でたまたま入って、セロニアス・モンク『アンダーグラウンド』がよくかかっていたのを思い出します。店の雰囲気はグランドピアノが置いてあるお洒落な雰囲気の店だったのに、何故かモンクのアルバムが気になっていたのでした。ママさん(たぶん雇われ)が美人な人で絶対に誰かの愛妾だと話していたのですが、謎の店でした。

ただその選曲は良かったので、何回か通っていたのだと思います。バブル時期でアラーキーがモデルを連れ回していたのにすれ違ったりしていました。今では考えられない贅沢な時間を過ごしていたのかもしれないです。ほとんど彼のおごりだったけど。

「イン・ウォーク・バド」はそんな時の思い出にピッタリの曲のように思えます。セロニアス・モンクがバド・パウエルのために作曲した曲で、モンクはパウエルが薬物をやっているのをかばって、自分が警察に捕まりキャバレー・カード(ジャズ・ミュージシャンとして働くための許可書)を取り上げられてしまったのです。二人の酔っぱらいが月夜に歩いている。ここで歌っているジョン・ヘンドリックスも見事に酔っ払いのようで好感が持てます。

そのときなのか、パウエルが頭を殴られて後に後遺症が出たとか。そのへんの話は伝説のように伝わっています。ランボーとヴェルレーヌのような伝説ですね。

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