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犠牲の山羊的なノマド映画(ロードムービー)。

『冬の旅』(1985年/フランス)監督・脚本・共同編集:アニエス・ヴァルダ 出演:サンドリーヌ・ボネール、マーシャ・メリル、ステファン・フレイス、ヨランド・モロー

解説/あらすじ
フランス片田舎の畑の側溝で、凍死体として発見された少女モナ。彼女の死に至るまでの数週間の足取りを、路上で出会った人々の証言から辿っていく―。

coco映画レビュアー

これは『あのこと』とは逆にエリートコースを進みながら自由を求めて放浪するが冬に寒さのために野垂れ死にする女性の映画。ヒッピー世代の終焉を描いたとされるのだが、ヒッピーからも彼女は働かないと言われてしまうのだ。

自己責任と言えば自己責任なのだが、彼女が生命を落としたのは村の感謝祭なのか祭りの最中での出来事だった。つまりそれは共同体に殺されたと言ってもいいのかもしれない。でも彼女もそれを望んでいたようなこともあるので、やっぱ自己責任なのかな。よく妊娠しなかったと思う。妊娠したらそこまでなんだろうけど。

アニエス・ヴァルダの視線はけっして彼女を否定しているのではないと思う。ただ悲劇だったということだろうか?犠牲の山羊的な。クロノス・カルテットがやりそうな弦楽四重奏曲が良かった。

でも『ワンダ』とか『ノマドランド』とか一概に悲劇でもそれを求めてという映画はあった。日本ではこういう女性映画はまずない。


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