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GWは、ユーリー・ノルシュテインを観よう!

『話の話』(ソ連/1979)監督ユーリー・ノルシュテイン

GYO!で無料放送中なので、暇な人は観て欲しい。

解説
「アート・アニメーションの神様」として世界中のアニメーターたちから敬愛されるロシア人アニメーター、ユーリー・ノルシュテイン監督が、自身の記憶を色濃く反映させながらつづった映像叙事詩。トルコの詩人ナジム・ヒクメットの同名の詩をモチーフに、ロシア子守唄に出てくる狼の子が狂言回しとして登場。幼少時の戦争体験などノルシュテイン監督自身の様々な記憶を散りばめながら、モーツァルトとバッハの旋律に乗せて、時にユーモラスに、時に悪夢的に描き出す。その完成度と芸術性の高さから世界各地の映画祭で絶賛され、ノルシュテイン監督を代表する一作となった。2004年の特集上映「ユーリー・ノルシュテインの仕事」などで上映されている。16年12月には、ノルシュテイン監督の代表作6作品を集めた特集上映「アニメーションの神様、その美しき世界」にて、高画質・高音質でよみがえらせたデジタルリマスター版が上映。
ユーリー・ノルシュテイン傑作選 「話の話」 https://gyao.yahoo.co.jp/episode/5f73402d-ad3a-4b55-9aea-976bd3c0ed7f?source=external.twitter.share.wide #GYAO #GYAOで無料配信中 #子守唄 #断片 #旋律

何が素晴らしいかというと唯一無二のオリジナルティのアニメ。自然の描写が素晴らしい。木の葉が落ちる様子とか雪の降る情景とか。ユーリー・ノルシュテインはソ連の亡命者のユダヤ人アニメーター。表現の自由を求めて亡命したのがわかる作品です。

そのメッセージ性は極めて高いです。誰が観ても戦争反対!それを少ない言葉と絵だけで表現出来る。子供が観ても理解出来ると思います。

音楽について。タンゴのダンスの曲は、映画『太陽に灼かれて』にも使われたポーランドで1935年に発表された『最後の日曜日』(ポーランド語: To ostatnia niedziela「自殺タンゴ」とも言われた)です。『太陽に灼かれて』では、スターリン主義の象徴として「沈まない太陽」と訳されていたと思います。ソ連でも流行ったということだから、ユーリーもそれを聞いたのかもしれないです。

退廃的なタンゴで踊るカップル(夫婦?)は、夫がすべて死神に連れて行かれる。女だけが残る。女は子供産んで、ベンチに佇んでいる。兵隊(ナポレオン帽子?)に付いて子供と一緒に立ち去る。

人間によって荒廃させられた森に住む灰色オオカミが孤児を育てます。

『25日・最初の日』(ソ連/1968)

美術監督のアルカージィ・チューリンとの共作で、1920年代のロシア・アバンギャルドアートに着想を得て、ロシア革命で権力者たちが怒れる民衆に打ち倒される姿を鮮烈に描き出す。画家ジョルジュ・ブラックや詩人ウラジミール・マヤコフスキーら熱き時代のアーティストたちの作品をモチーフに、戦いに身を投じた人々の想いを再現した。

1917年の革命をアニメーションで描く。今見るとプロパガンダ映画だ。ショスタコーヴィッチの交響曲に当時のポスターらしき絵を重ねていく。影絵のようなモノクロの絵に赤の婦人姿の絵が走っていく。後で子供を抱えた若い農婦が出てくる(マリア像みたいな感じ)。資本家やブルジョアが次々に倒れていく姿が描かれ、最後にレーニンのソヴィエト宣言で終わる。

「ケルジェネツの戦い」( ソビエト/1971)

ユーリー・ノルシュテイン監督が1971年に手がけた第2作。イワン・イワノフ=ワノとの共作で、ロシアの作曲家リムスキー・コルサコフ晩年のオペラ「見えざる町キーテジと乙女フェブローニャの物語」に刺激を受けたワノが、ノルシュテイン監督のデビュー作「25日・最初の日」の鮮烈な手法を取り入れるべく共同監督に招いて制作。ロシア聖像画の手法を使い、ケルジェネツ河のほとりで起こったロシアとタタールの戦争と、戦いに巻き込まれた村の様子を描いた。

ロシア対モンゴルの戦いをイコンの絵をモチーフにして、リムスキー・コルサコフの音楽に乗せた歴史絵巻。戦争肯定しているが、モンゴルが攻めてきたからだろう。モンゴルが狼に乗った軍団なのが面白い。何故かマリア様が現れて、ロシアの兵士は犠牲になるが勝利をおさめて万々歳。国を立て直す為に農業や建造物を作ったりして、おしまい。イコンの絵を動くアニメーションにしたというのが見所なのかもしれない。物語は単純だった。

『キツネとウサギ』(ソビエト/1973)

ユーリー・ノルシュテインの監督3作目にして初単独監督作。ロシア人なら誰もが知る、ウラジーミル・ダーリ原案のロシア民話「キツネとウサギ」をモチーフにした短編アニメーションで、妻で美術監督のヤールブソワとともに民族美術を参考にキャラクターデザインを考案。絵にはガラジェッツ絵画のデザインを全面的に用いられている。

日本昔話風なロシアの民話。うさぎは、悪賢いイメージなのに、ここではキツネに家を乗っ取られる弱者だ。キツネがけっこうしぶとく、狼や熊が来ても立ち退かない。雄鶏には、負けるのが疑問?うさぎと一緒に住めるということなのかな?ロシアの民話だから、わからなさは当たり前なのかも。

『アオサギとツル』(ソビエト/1974)

ウラジーミル・ダーリの民話にもとづき、お互いに惹かれ合っているアオサギとツルが、結婚の申し込みをし合いながらもすれ違い、意地を張り合う姿を描く。日本の浮世絵や水墨画を参考に幻想的な世界が作り出され、監督本人いわく自分のしたことをすべて表現できた最初の作品。

ユーリー・ノルシュテインらしさが現れるアニメーションか?水墨画的な画風にアクセントで色を入れる。花火のシーンとか木の実が流れるシーンとか。鶴の青ジャケットもそう。最初、鶴が青ジャケット着ているから、こっちがアオサギかと思ったが、背が高い雄がツルだった。雄のツルがアオサギに結婚を申し込むが、いつも喧嘩して別れてしまう。やっと仲良く結婚出来るという単純なストーリーだが、これはアニメーションが素晴らしいのと音楽の入れ方がすでに『話の話』と同じだった。先駆的作品。

『霧の中のハリネズミ』(ソビエト/1975)

夕暮れの野原を、ハリネズミのヨージックが友だちの子グマの家でお茶を飲みながら星を数えるために、急ぎ足で歩いている。いつしかあたりに霧が立ち込め、ヨージックは様々な体験をする……。原作に監督のアイデアを加えより哲学的になったストーリーを、本作のため制作された大型撮影台マルチプレーンによって独特の深い映像空間で描く。

ハリネズミの卑小さ中に孤独があり、そして世界が霧に覆われている。恐ろしいフクロウやコウモリの存在。しかし、霧の中には白馬の姿も。童話に託したソビエトの現実なのだと思う。その中で懸命にクマの親友のためにお土産を持って、霧の森の中に進んでいく。川に落ちたが何者かに救われる。

霧の中でも希望を見出そうとするアニメ。霧の表現も見事だし、川は実写だったのかな?このへんになると完成度が高いアニメーションだ。


キエフの霧の中のハリネズミの記念碑の説明 - 絵画 - 2022 https://ja.energine.org/2220-description-of-the-monument-to-a-hedgehog-in-the-fog.html#.Ym6xTD07cgI.twitter

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