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そこで生きなくてもいいのでは?

『インスペクション ここで生きる』(2022年製作/95分/R15+/アメリカ)監督:エレガンス・ブラットン 出演:ジェレミー・ポープ、ラウル・カスティーロ、マコール・ロンバルディ


イラク戦争が長期化する2005年・アメリカで、 “生きる”ために海兵隊へ志願した青年・フレンチ。 監督自身の体験を描き、世界で絶賛された心揺さぶる実話。
ゲイであることで母に捨てられ、16歳から10年間ホームレス生活を送っていた青年・フレンチ(ジェレミー・ポープ)。どこにも居場所を許されず、自らの存在意義を追い求める彼は、生きるためのたったひとつの選択肢と信じて海兵隊への入隊を志願する。だが、訓練初日から教官の過酷なしごきに遭い、さらにゲイであることが周囲に知れ渡るや否や激しい差別にさらされてしまう……。理不尽な日々に幾度も心が折れそうになりながらもその都度自らを奮い立たせ、毅然と暴力と憎悪に立ち向かうフレンチ。僕が僕のままで在るために、自分の意志でここに居る――。孤立を恐れず、同時に決して他者を見限らない彼の信念は、徐々に周囲の意識を変えていく。

母にゲイであることを拒否されたどん底人生から這い上がるために海兵隊に入って男を上げるが、結局は母に理解されなかったという映画。監督の自伝的映画らしい。アメリカの保守性だろか?前近代的過ぎるので良くわからなかった。

まずキリスト教社会の保守性なのかな。なぜゲイがそんなに嫌われるのかいまいち理解できなかった。ただ母は16歳で子供を生んでシングルマザーとして育ててきたという。その中で共同体としてキリスト教社会が強く影響したのかな。警察官のようなんだけど、正義感がキリスト教の正義感なのか。もしかしたらレイプされたのかもしれなかった。そのへんの母の過去がもう少しわかると理解出来るのかもしれない。

そもそもこういう毒親はどこにもいそうで、母子関係に拘る息子も理解出来ない。母という存在に理想論を持ちすぎているような気がする。他者として認識できないのかな。ただ最悪な環境から抜け出すために海兵隊に入ったのなら、あまり母は関係がないのだが、最後まで母のためにという人生で、それを母に理解してもらいたいという。

例えばそれは共同体の映画なのだろうか?保守的にキリスト教共同体があって、そこからはみ出した者が海兵隊に共同体を求める。海兵隊の家族的な感じなのかな。仲間意識というか?そこはゲイとか人種とか関係なく仲間を守る人間だけが強いし名誉なんだという。

海兵隊の厳しい訓練の映画は、キューブリック『フルメタル・ジャケット』とかあったが、それ以上のものではなかった。キューブリックの映画は海兵隊に批判的なものがあったが、この映画ではある部分海兵隊の名誉を尊重する。その世界観が理解出来ない。アメリカのどこにも行き場のないものが名誉を求めて行く場所という感じなのか?虐めが正当化される時点で自分は駄目だった映画だった。

これがアメリカの現実という映画だとしたら、批評的な切り口はどこにあるのだろうか?ただ忍耐して強いアメリカの男になるという映画だったような気がする。ゲイであっても。真面目過ぎる映画なのか?そのところで息詰まるストーリーなのだが、それは映画としての褒め言葉になるのだろうか?もう少し遊び的な部分が欲しいような。むしろ問題提起型映画なのか?A24だから、多分その線だと思うが、それにしては最後海兵隊を肯定しすぎないか?最強の人間が作られても所詮ドローンのような戦争兵器には勝てないのだし、戦争は他者を認めない世界だということなのか?マッチョな男たちの世界は理解出来ん。

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