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クレオパトラのドラマがみたくなりました
『ローマ帝国 シーズン2「ユリウス・カエサルローマ支配」』(Netflixドラマ/2018年)
エピソード1「三頭政治」
シーズン2から見ても面白いです。むしろカエサル中心なのでシェイクスピアから入ったならばこのドラマはお勧めです。随分違うところがある。このドラマは、ジュリアス・シーザーがまだ兵士だった頃から。解説入りドラマ。というより歴史教科書的な再現ドラマだが、シーザー中心に描かれている。「スパルタカスの乱」ってギリシアのスパルタの話だと思っていたらローマの奴隷の反乱だったのか?
今までローマにはそれほど興味はなかったのだが、風呂ぐらい(『テルマエ・ロマエ』)。ブルータスもクレオパトラも出てくる。シーズン2からで面白い。三頭政治はクラックスとポンペイウスとカエサルの時代の政治ですけど、この頃はまだ共和制でした。どのようにカエサルが独裁政治に突き進んでいくかがポイントです。
最初はクラックスの部隊の一介の兵士にしか過ぎなかった(父は将軍だったのですが敗軍の将だったのでカエサルは落ちぶれていた)。クラックスというのは無能な将軍で、カエサルの力で「スパルタカスの乱」を平定するのですが、ローマに凱旋する間にポンペイウスが手柄を独り占めにしてしって、ポンペイウスとクラックスの対立が起きる。それを仲裁したのがカエサルでした。
エピソード2「偉大なる征服者」
カエサル、ポンペイウス、クラッススの三頭政治。クラッススのパルティア遠征失敗(このドラマではクラックスは無能な将軍扱い)。「カルラエの戦い」でクラックスは捕虜になって捕らえられ、口から溶かした金を注がれて悶絶死(残酷シーン)。クラックスが金の亡者だからという理由。三頭政治は崩れて、カエサルはガリア(フランス)遠征で苦境に立たされる。カエサルは軍事力で領土拡大を求め、ローマでは政治力にまさるポンペイウス執政官就任のニュースで、カエサルの負けられない戦争となります。
エピソード3「賽は投げられた」
このへんのドラマは諺オンパレードですね。ガリア遠征は、カエサル『ガリア戦記』という手記がローマではベストセラーになります。カエサルの遠征日記ですけど、簡潔にガリア地方の風習やら戦争が描かれています。勝ち戦だったので、後々伝えられて今でも読めます(岩波文庫で出ていた)。
ガリア戦争では、敵将のウェルキンゲトリクスがフランスの英雄になるほど手強い相手となります。数々のローマ軍に抵抗してきた反乱軍ですが、カエサルはガリア全体を包囲(高い壁作戦、トランプか!)して消耗戦に出ます。自軍も補給路を断っているのでギリギリの作戦でした。ガリアは多数の部族からなっており、別の部族がその外側から襲撃してきます。この危機的状況にもカエサルの戦略は見事に交わして(騎馬戦が強い義経みたいです)、ウェルキンゲトリクスも降伏する。
カエサルはこのままローマに帰還するのですが、すでにポンペイウスがローマで実権を握っている。カエサルのガリア遠征はローマの承認なしに行った戦争ということで、もはや賊軍でした。しかし、カエサルがローマに帰還するために軍隊で「ルビコン川」を渡った。「ルビコン川を渡る」の意味がやっとわかった。後には退けぬという、カエサルのポンペイウスに対する挑戦状。内乱を覚悟します。
あとブルータス登場。カエサルの愛人がブルータスの母だった。セルウィリア。ローマで一番賢いと言われた女性といわれてますけど、このドラマではそうは思えないです。
ポンペイウスもカエサルの軍隊を恐れてギリシアに逃げ込みます。そこで力を蓄えてと思うのですが、ガリア戦争の勢いがあるカエサル軍には敵わない。ポンペイウスはエジプトに逃げる。当時のエジプトはプトレマイオス朝末期で、ここでもプトレマイオス弟と姉のクレオパトラが対立していました。エジプトも複雑でプトレマイオス弟と姉クレオパトラが姉弟で結婚したり、その後に仲違いしてその下の弟と権力争いで揉めています。ポンペイウスはプトレマイオスに援軍を求める代わりにエジプト支配に力を貸すことにしたのです。
エピソード4「ナイルの女王」
クレオパトラ登場。ポンペイウスはカエサルとの戦闘から逃げてエジプトの援軍を求めた。しかし、プトレマイオス王14歳に斬首。プトレマイオスもクレオパトラとの抗争中だった。カエサルはプトレマイオスと面会したがお盆に乗せられたポンペイウスを見ます。それでカエサルもエジプトの捕虜になってしまうのですが、それを助け出すのがクレオパトラなのです。
この辺からシェイクスピアと随分違ったストーリーになっていきます。カエサルとクレオパトラが出会って恋愛状態に陥るのは、映画『クレオパトラ』の話。このドラマではクレオパトラが誘惑して生き残りを図ったような描きかたです。ドラマのクレオパトラも絶世の美女というわけではない(エリザベス・テイラーほどの女優を起用出来なかったこともあるでしょう)。
カエサルは色(エロ)に弱い。英雄色を好むはこの時期に出来た言葉かも。ぐぐったらやっぱそうみたい。
エピソード5「カエサルの最期」
シェイクスピアと違って「ブルータスお前もか」のセリフがなかった。カエサル暗殺の首謀者がブルータスでした。その前にクレオパトラが子連れでローマにやってきます。カエサルの子だと。これは凄い展開ですね。クレオパトラがローマに取って悪女なのは、英雄カエサルをたぶらかして独裁者にしたということです。息子のためにローマとエジプトの王になれば、絶対的権力は「二人の世界」。佐良直美の「二人の世界」を聴きたい気分ですけど先に話を進めます。
ブルータスの母、セルウィリアはローマ一賢い女だったはずだが嫉妬に狂うのだった。それでブルータスにカエサル暗殺をけしかける。権力争いの裏で女の闘いを持ってきたのが、現代っぽいドラマですね。この部分はちゃんとしたドラマにしたら面白そうです。カエサルの後継者はブルータスと思っていたのが、クレオパトラとの息子が出来たらそっちになると母親に言われて、ブルータスの優柔不断なのはここでも母の言葉に従ってしまいます。
その前にカエサルは癲癇になるのでした。PTSDみたい(ポンペイウスのお盆の首とか妻や娘に会えずに戦争ばかりで精神はボロボロで癲癇症状をきたしていた)。それでしょっちゅう倒れて痙攣するから、独裁者としては無理と周りから思われる。カエサルのローマでの評判も落ちてくる(クレオパトラが子供を連れてやってくるから)。
それでまた遠征という名の侵略戦争を企てる(ローマで政治をするよりそっちのほうが気が楽)。その前に暗殺されるのです。この場面は同じです。予言があって、カエサルの妻の悪い夢があるけど、それを無視して演説にデカ書ける。そこでブルータス一味に暗殺される。そのあとのブルータスの演説はなし。すぐに群衆が反乱を起こしてブルータスも殺される。無政府状態ですね。アントニーもナレーションだけの出番でした。クレオパトラとくっついたがカエサルの甥に負けて死ぬ。カエサルのドラマなんで後はナレーションで終わりです。
クレオパトラの息子も17歳で死ぬ。まあみんな死ぬんですね。やはりカエサルのドラマだけあって、カエサルよりの英雄譚でした。シーズン3はカリギュラが主人公です。
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