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空蝉、逢坂の関の巻

『源氏物語 16 関屋(翻訳)与謝野晶子( Kindle版)

平安時代中期に紫式部によって創作された最古の長編小説を、与謝野晶子が生き生きと大胆に現代語に訳した決定版。全54帖の第16帖「関屋」。空蝉は夫・常陸介の任地へ共に赴いていたが、任期を終えて帰る道すがら、逢坂の関で偶然にも源氏の一行と出くわす。美しい大行列の簾の中から源氏は空蝉の弟を呼び、空蝉への手紙を託す。空蝉もまた、心のこもった手紙を返した。常陸介が老齢のため他界し、常陸介の息子・河内守は継母の空蝉に好色な気持ちを寄せてきた。空蝉はこれを嫌がって出家してしまう。

Amazon紹介文

光源氏を袖にした女は不幸になるというどうでもいい話だった。夫の死後義理の息子に言い寄られるのは光源氏の物語をなぞっているのだろうが、無論こっちは不幸なことなのだ(光源氏とは違う)。あと小君は出世したのか?小君と義理の息子の立場の違いは、小君は姉に付き添い、義理の息子は官位を上げたのだった。読むべきとこは、関所で和歌を交わすところか。

(光源氏)
わくらはに行き逢あふみちを頼みしもなほかひなしや塩ならぬ海
(空蝉返し)
逢坂あふさかの関やいかなる関なれば繁しげきなげきの中を分くらん

大阪の関所の和歌といえば百人一首でも有名な和歌があり、それに合わせたような内容だった。

これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂(あふさか)の関  蝉丸

今気づいたけど、百人一首は蝉丸じゃないか、そして空蝉だった。恐るべし『源氏物語』。


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