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悪い子も幸せになれる映画

『悪い子バビー』(1993年/オーストラリア・イタリア合作/114分)


この男、狂人か、革命児か――?

全世界20ヵ国以上で配給され
圧倒的支持を集める小さな傑作。

一般社会とかけ離れた過酷な環境で育った男・バビーが、多くの人々と出会い、そして音楽に導かれて自分自身を発見する旅。オランダ生まれオーストラリア育ちのロルフ・デ・ヒーア監督が脚本完成までに10年以上の年月を要した本作は、予算や技術などすべてにおいて映画制作の”普通”に囚われない。バビーが生まれて初めて触れる世界を観客が視覚・聴覚でそのまま体験できる手法が採用され、撮影監督に合計32名ものスタッフが代わるがわる参加したほか、「バイノーラルサウンド録音」でバビーの耳に届く音の刺激をリアルに再現するなど、一切妥協のない作品が出来上がった。小さな作品ながらもヴェネチア国際映画祭に出品されると、一夜にして観客を魅了し審査員特別賞ほか全3部門を受賞。その評判は瞬く間に各国へと広がり20ヵ国以上で上映、ノルウェーでは年間興行収入第2位にランクインする大ヒットを記録した。
母親に命じられるがまま、閉じこもって生きてきたバビー。彼が置かれている、目を覆いたくなるほどの悲惨な境遇に不安を抱きながらも、観る者を衝撃的な感動で包み込む、映画史上稀にみる傑作が30年の時を経て遂に日本初公開となる。

よくこんな映画が公開されたな。30年間も未公開だったのが頷ける映画だ。監禁部屋に近親相姦、動物虐待とマイナス面しかない始まり。主人公も見た目はキモいし、どう考えてもヒーロータイプではない。ただどこかしら才能を見出すのか音楽に対しては鋭い感性を持っていたようである。音楽というかパフォーマンス系のパンク・ロックなんだが。

カルト映画と言ってもいいかもしれない。それでも最後はハッピーエンドになるのだから不思議な映画だ。辛い失恋話もあった。これは裏返せばラブストーリーなのか?母親が息子を監禁するのも強すぎる母性愛だからかもしれない。でも夫が戻ってくると邪魔者扱い。愛に恵まれなかった引きこもりが愛を見出すという映画で現代的かもしれない。美しい愛とは言い難いが本人が幸せなたばそれでいいのだ。子供たちは心配。

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