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ポランスキーの「ドレフュス事件」

『オフィサー・アンド・スパイ』(2019/フランス/イタリア)監督ロマン・ポランスキー 出演ジャン・デュジャルダン/ルイ・ガレル/エマニュエル・セニエ/グレゴリー・ガドゥボワ/メルヴィル・プポー/マチュー・アマルリック

解説/あらすじ
1894 年、フランス。ユダヤ系の陸軍大尉ドレフュスが、ドイツに軍事機密を流したスパイ容疑で終身刑を宣告される。ところが対敵情報活動を率いるピカール中佐は、ドレフュスの無実を示す衝撃的な証拠を発見。上官に対処を迫るが、国家的なスキャンダルを恐れ、隠蔽をもくろむ上層部に左遷を命じられてしまう。全て失っても尚、ドレフュスの再審を願うピカールは己の信念に従い、作家のゾラらに支援を求める。しかし、行く手には腐敗した権力や反ユダヤ勢力との過酷な闘いが待ち受けていた…。

監督がロマン・ポランスキーだった。あまりポランスキーらしくないというか枯れてしまったのかな。軍隊映画なんでそれなりに映像はいいんだけど(美的)、「ドレフュス事件」の映画として観に行ったのでちょっと期待外れだった。それはプルーストとか出てくると思ったが、作家もゾラが出てきたがもっと演説シーンで魅せるとかそういうのがなかった。単なる老人作家的な良識。

まあユダヤ人嫌いな軍人でも正義を貫くという信念の映画なのだが。主人公が軍人であるからそういう感じの映画になるのは当然か。ポランスキーの経験則が出ているからか不倫男なんだが、そこは普通に流していた。一番はユダヤ人差別がフランス全土に拡がるのがナチス時代と重なってくる。水晶の夜的なシーンとか、焚書とか、そこはナチス映画になっていた。そこらへんにこだわりがあったのかもしれない。

軍人の裁判映画(そうなるのは当然なんだろうが)で、当時のブルジョア(ユダヤ系)勢力のエポックメイキングな『失われた時を求めて』時代をもっと観られると思ったのだ。キャバレーとかベル・エポック的な映像がもっと観られても良かった。『失われた時を求めて』を期待してしまった。結局フランス軍人の中にも正義な人はいる(それを貫く)という説教臭い映画になってしまった。https://youtu.be/bILGahl1I64

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