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桃尻よりも桃乳幻想

『桃尻娘 プロポーズ大作戦』(1980/日本)監督小原宏裕 出演竹田かほり/亜子/高橋淳/桑崎てるお/栗田よう子

シリーズ三作目の今回は一般映画として公開され、お馴染、桃尻娘たちが北海道を舞台に大活躍。橋本治の原作の映画化で、脚本は「白く濡れた夏」の金子成人、監督は「ズームアップ 暴行現場」の小原宏裕、撮影は「修道女 黒衣の中のうずき」の前田米造がそれぞれ担当。

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三作目は高校を卒業して、榊原玲奈は大学入試に失敗して浪人生。友人の裕子がアングラ劇団に入って北海道小樽へというストーリー。これは公開してすぐに見た記憶があった。暗黒舞踏なのはアングラ劇だったのだ。当時流行っていたのか、友達に誘われて何本か見たことはあったがあまり感動はしなかったのは榊原玲奈と同じだった。

それでも劇に感情移入する人はもともと感動屋さんなんだろう。裕子はそういうタイプで、お馬鹿キャラになっているが、若い時の特権というかこういう経験は後になっていい思い出になるのかもしれない。しらけ世代だったからあまりにも客観的に見すぎて熱中しなかった。

それでもそれで熱中して新興宗教にハマったりする人もいるんでどっちもどっちだな。それもいい経験と思えればいいが。三本も見ていると最初は竹田かほりの榊原玲奈がいいと思ったがだんだん裕子の天然ぶりが羨ましく感じてくるのは、あの時代そういう女の子はいたし、そういうことに積極的な方が人生面白くなっているかもと思えてくる。変わり身の速さもあっぱれなもので、裕子タイプが時代の波に乗っていけるのだろうな、とは思う。
玲奈も物語幻想に批判的でありながら、最後はグレートマザー的な幻想を持っていた。それは橋本治の原作にもあるものなのかわからないが、乳離れということだ。男の子が玲奈のおっぱいに興味を覚え、それを与えて愛を育む人となるラストは今となっては母性幻想だとは思う。

あの頃の映画や物語はそういうのが多かった(村上春樹もそうだ)。それは結局、男が作った世界観だと思うのだ。今、女性監督で『桃尻娘』を作ったらどうなるのか興味がある。


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