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シュルシュル信仰

『岡上淑子・藤野一友の世界』岡上 淑子、藤野 一友

「藤野一友と岡上淑子」展公式図録
会場:福岡市美術館
会期:2022年11月1日~2023年1月9日
https://www.fukuoka-art-museum.jp/exhibition/fujinookanoue/

この偶然の拘束のうえに、意志の象(かたち)を拓(ひら)くことを願うのです。――岡上淑子
僕はすべてのタブウに対して目新しくはない反逆を企てたい。――藤野一友

同じ時代と時間を共有しながら、それぞれに夢の世界を創り上げた
コラージュ作家・岡上淑子と幻想画家・藤野一友。

岡上の《廃墟の旋律》《海のレダ》、藤野の《抽象的な籠》《卵を背負った天使》など代表作のほか
藤野の舞台美術資料や装丁作品なども収録。

寄稿=藤野可織、大瀧啓裕、東雅夫

両作家とも好きな作家の装丁で知ったのだ。金井美恵子とサンリオのフィリップ・K・ディックのSF。両作家とも本の表紙絵と作品の内容は重なっていたので印象深く覚えている。岡上淑子のコレージュは50年代だったのを知ってその当時の芸術の最先端であったのだろうと。藤野一友の絵は60年代なので、二人は50年代に出会って57年には結婚していた。藤野一友は三島由紀夫とも親しく、澁澤龍彦などと降霊術(こっくりさん)ごっこをやっていたようである。

1965年に脳卒中で倒れて右手が麻痺した藤野一友は岡上淑子が引退することでかろうじて生活をしていたが、その後離婚して、藤野一友は脳卒中で倒れる前の作品がサンリオのディックの作品に使われたようである。印象的な「抽象的な龍」(『ヴァリス』の表紙)の顔が菩薩顔で山口百恵似かと思っていたが、当時の岡上淑子の顔なのかもしれない。

以前こういうコラージュ的作品が好きだと言ったら「シュルシュルね」と言った人がいた。けっこうその語感が気に入っている。


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