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おしゃれなパリジェンヌなシスターフッド映画

ジャック・リヴェット映画祭『セリーヌとジュリーは舟でゆく』(1974/フランス)監督: ジャック・リヴェット 出演:ジュリエット・ベルト、ドミニク・ラブリエ、マリー=フランス・ピジェ、バーベット・シュローダー

公園のベンチで魔術の本を読んでいた司書のジュリーが魔術師セリーヌと出会ったことからはじまる奇妙な冒険、そしてある殺人事件のにおい。「不思議の国のアリス」的迷宮を思わせる冒頭から始まる本作はセリーヌ役のジュリエット・ベルトとジュリー役のドミニク・ラブリエが書き始めた台本から出発し構成された。幻想と現実の境界線を軽やかに飛び越えて自由に入れ替わる主人公たちのユーモラスなやりとりや70年代を象徴するサイケデリックな衣装も楽しく、遊び心に溢れたファンタジーの傑作にしてリヴェットの人気作。劇中で起こる屋敷内の事件はヘンリー・ジェイムズの小説から翻案された。

ストーリーがあってないような奇妙奇天烈展開の映画。「不思議な国のアリス」をモチーフにしているようで、時空を遡って毒親(なのかよくわからないのだがブルジョア家庭の少女を解放する話なのだ)から少女を救うシスターフッドの二人。出会いも突拍子もなく幼なじみのようなのだが、多分に学生運動とか経験したであろうヒッピー世代の映画なのか。

ヌヴェルヴァーグ的な映像にこだわった感じだが脚本は雑だ。というより即興劇的な要素があり、それは今観ると話しについていけない部分がままある。もっとも前半は半分ぐらい寝ていたが、こういう映画は異世界のファンタジーだから、うとうとしながら観るのは正解なのかもしれない。

ストーリーもそれほど重要視されてないので、ヒロイン二人の当時流行りのファッションとかパリの街並みの雰囲気を楽しむ感じか。だから何回か観ると観るたびに発見がある映画かもしれない。タルコフスキーとか寝てしまうけど観る度に感動があるというそういう映画だった。もっともポップなパリジャンヌ的なファッション映画なのだ。理屈はいらない。

親たちがゾンビだったとかシスター・フッドのコメディー映画だから、もう少し丁寧に作ってテンポよくすれば今の時代には受ける要素はある。ただ笑いが時代遅れなところもある。3時間以上あるのは長すぎた。

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