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チャン・イーモウは、中国の河瀨直美か?

『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』(2020/中国)監督チャン・イーモウ 出演チャン・イー、リウ・ハオツン、ファン・ウェイ

解説/あらすじ
文化大革命時代の中国を舞台に繰り広げられるノスタルジックで普遍的な物語と、広大な砂漠を大胆に映し出す圧倒的な映像美。フィルムの中にたった1秒だけ映し出されているという娘の姿を追い求める父親と、幼い弟との貧しい暮らしを懸命に生き抜こうとする孤独な少女。決して交わるはずのなかった2人が、激動の時代の中で運命的に出会い、そして彼らの人生は思いがけない方向へと進んでいく―。

中国の河瀨直美なのか、河瀨直美が日本のチャン・イーモウなんだろうな。体制側の映画を作るけど悪くないんで評価に困るところ。特にこういう映画は。

オープニングがいいけど、目あたしさはない。砂漠の映像なんだが、中国にも『砂の女』のロケ地のような場所があるというか、安部公房がそこを日本に移し替えたのだった。『デューン 砂の惑星』ここで撮れば良かったのに思える場所だった。

ノスタルジックな映画讃歌の映画ってどこかで観たよなと思う人はイタリアのジュゼッペ・トルナトーレ監督『シネマ・パラダイス』を思い出すだろうな。そういう感情に訴えかけてくるのは得意な監督だから。なにより主演のリウ・ハウツンが薬師丸ひろ子のデビュー時のときのようで可愛い。それだけでも観る価値はあると思うのだが。

映画の中でもプロパガンダを扱っておりこのへんは上手いよな。どっちつかずというか批判しているのか、それを当たり前のものとして受け入れてしまっているのか、多分後者なのだが、それでも映画というものが大衆芸術であるならば、それは当然だというものがあるのだろう。

脚本もそのへんも上手い。文化大革命とかよくわからないし、単に反抗分子だと思う男が実際に何をしたかは描かれていない。ただ娘のために監獄を出てきたということだけだ。そこで体制側の映画技師と不良少女との出会いがある。

全体的には映画としてまとまっているし、砂漠のシーンも印象的でいいのだ。中国ならではの国策映画という気がしないでもない。

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