もう若くないオジさんには羨ましい青春映画のはずが、
『君は永遠にそいつらより若い』(日本/2020)監督吉野竜平 出演佐久間由衣/奈緒/笠松将/小日向星一
解説/あらすじ
児童福祉職への就職が決まり、大学卒業を間近に控え手持ちぶさたな日々を送る堀貝は、身長170cmを超える22歳、処女。変わり者とされているが、さほど自覚はない。バイトと学校と下宿を行き来し友人とぐだぐだした日常を過ごしている中、同じ大学の猪乃木と知り合うが、過去に痛ましい経験を持つ猪乃木とは、独特な関係を紡いでいく。そんな中、友人の友人、穂峰が自ら命を絶ち、堀貝を取り巻く日常の裏に潜む「暴力」と「哀しみ」が顔を見せる…。
上映前に監督の話があって、奈緒という役者が注目なのだそうで、最近では『草の輝き』にも出ていた。『草の輝き』は佐藤泰志原作だったので、同じ佐藤泰志原作の『そこのみにて光輝く』に出演していた池脇千鶴に似ている。主役の子は内田有紀に似ていた。そんなことはどうでもいいんだが題名の「君」より「そいつら」に近いのかもしれないな。事件は起こしてないが年齢的には。
ある部分羨ましくなるような青春映画かと思いきや徐々にテーマが重くなる。前半はお気楽女子学生かと思ったが、次第にハードなことばかり起きて、最後はけっこう辛い映画だった。時流なのかな、と思ったが原作は15年前だった。芥川賞作家の津村記久子のデビュー作ということだが、こんな暗い小説を書いていたのか?芥川賞作の『ポトスライムの舟』も明るい話でもないが、喜劇的なところがあった。この映画はもろ悲劇だが救いはあるような。
青春映画として見るならば前半の青春ならではのセックスにまつわる悩みはあるのかもと観ていたが、同級生の死と大学の友人の過去は、今流なのかな。そんなハードな出来事と青春ならではのどうでもいい悩みと対置しているのだが、それぞれ彼女らに取っては真剣な悩みなのである。で、それを受け流して行かなければならないのだが、受け止めようとするヒロインも魅力ではあるのかな。
「君はそいつらより永遠に若い」と言っているうちが華なのよ。
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